研究課題/領域番号 |
19K14131
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牧野 智和 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00508244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 公共空間 / アクティビティ / 創造性 / まちづくり |
研究実績の概要 |
今年度は、これまでの研究から明らかになった学校建築における動向が、学校建築という対象固有のものであるのか、より広い建築一般における動向といえるのかを確かめるため、公共空間デザインの研究に従事した。社会学における公共空間研究の動向は、メディア空間を含む、公共的なコミュニケーションが行われる場としての空間という観点からは研究が盛んになされてきたものの、物理的空間としての公共空間デザインに関する研究はほとんど行われてきていない。また、少ないながら行われてきた研究も、各時代を象徴する公共的な空間の分析が主であり、私たちが日常的に利用する公共空間の設計・デザイン動向については未だほとんど検討がなされていない。そこで今年度は、公共空間の物理的な設計やマネジメントを扱う資料を281冊選定し、日本国内における公共空間デザインの動向について整理した。これまでの研究との関連についていえば、生徒の創造性を喚起するようなアクティビティの誘発に向かう学校建築と、今日の公共空間デザインは、領域は異なれど同様の志向を有している。つまり、さまざまなアクティビティを許容し、それが社会活動や市民相互の信頼を醸成するような、誘発・媒介的な志向において共通点がある。公共空間デザインの場合は特に、そうした空間がまちのイメージ(創造性)を上昇させ、経済上の成果を上げることにもつながるとして、設計だけでなくマネジメントの工夫とも連動する傾向が強く、学校建築と共通点をもちながらも、より先進的な動向を観察することができたように思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校建築や公共空間デザインの動向については、おおむね2020年頃(コロナ禍以前)までの動向をとらえることができているものの、このコロナ禍のもとで現地でのフィールドワークが滞っており、その点で画竜点睛を欠くといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の公共空間デザインの動向を踏まえて、学校建築の動向の解釈のまとめに進んでいきたい。また、可能であれば現地へのフィールドワーク、および近年進んでいるアクティブラーニングへの対応、オンライン授業への対応に関して、学校建築およびその活用動向についても適宜調査を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度には、これまでの研究成果を踏まえた、学校建築に関するフィールドワークを複数行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で遠隔地へのフィールドワークを行うことができなかったため、次年度使用額が発生した。2021年度も同様の懸念があるが、状況的に可能であれば2020年度に行うことのできなかったフィールドワークを実施したい。
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