研究課題/領域番号 |
19K14131
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牧野 智和 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00508244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校建築 / オフィスデザイン / 公共空間 / アクターネットワーク理論 / ミシェル・フーコー |
研究実績の概要 |
今年度は、これまでの研究蓄積が一定量のものになったと判断し、研究成果を学術書にまとめる一年になった。これまでに検討してきたのは、本研究のメインテーマである学校建築に加え、それと同種のアクティビティを誘発する仕掛けを備えるオフィスデザインおよび公共空間デザインだが、このように異なるビルディングタイプを一貫した観点のもとに比較分析するため、年度の前半は建築学の蓄積および社会学・人類学における建築研究の蓄積を参照し、整理していく作業にあてられた。この作業のなかで、当初念頭に置いていたアクターネットワーク理論という理論枠組のメリットとデメリットが改めて吟味され、本研究の遂行にあたっては、アクターネットワーク理論を標榜することのデメリットが大きい(用いることの認識利得よりも、それを用いたことへの批判が大きい)と判断され、その結果ミシェル・フーコー中期の権力論を参照する方針に改められた。年度の後半は次のようなコンセプトが掲げられた学術書の執筆にあてられた。「自発性を育む学校、アイデアが生まれやすいオフィス、さまざまな人々がかかわり、にぎわう公共空間。私たちが日常的に利用する空間は今日、どのような問題意識と希望のもとでどのように設計され、私たちのふるまいや心理にどのような影響を与えようとするものなのか。フーコー派社会学の立場による学校建築・オフィスデザイン・公共空間デザインの分析から、現代的建築空間が創出するハイブリッドな『主体性』のあり方を明らかにする」。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各ビルディングタイプの分析が予想よりもスムーズに進み、とりまとめ作業を前倒しして行えているため。また、新型コロナウイルスの感染拡大はフィールドワークを困難にしている部分があるものの、従来的な建築空間を問い直す契機にもなっており、それ以前までで研究をまとめる区切りを見出せたという点では肯定的に考えることもできる。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果をまとめた学術書を刊行する。ただ、フィールドワークを十分に行えなかった部分はあるため、感染状況の緩和に応じてフィールドワークをより多く行い、学術書の刊行以後はその成果を個別論文のかたちで発表していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大によって当初予定していたフィールドワークが行えず、感染状況の緩和した秋のみの実施にとどまったため、2022年度には当初予定していたフィールドワークを可能な限り積極的に実施していく。
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