研究課題/領域番号 |
19K14134
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
沈 雨香 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助手 (80822197)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 進学規定要因 / 女性の高学歴化 / 進路選択 / 高等教育 / 中東湾岸諸国 / 進学動機 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は中東湾岸諸国女性の大学進学意識の規定要因を明らかにすることである。研究計画の初年度に当たる本年は、サウジアラビアの王立研究所King Faisal Center for Research and Islamic Studiesのvisiting fellowに選抜され、2019年11月から研究所の招待によりサウジアラビアへ渡航、1か月間フィールドワークを行った。 本研究の主な研究実績は以下の通りである。 1.サウジアラビア社会、特に女性における「博士‘Doctora’になること」への意味に焦点を当て、大学院生及び博士号を取得している女性らにインタビュー調査を行った。現在データを取りまとめ分析を進めている。 2.サウジアラビアの国立及び私立大学で研究・教育を行っている外国人教員にヒアリングを行い、サウジアラビア高等教育の教育・研究体制の現状や学生の教育・就労アスピレーションについてついて聞き取りを行った。その結果、急激な高等教育の拡大がもたらした研究・教育面における数々の課題が浮かび上がった。 3.サウジアラビア調査では、King Saud University、Imam University、Dar Al Uloom University、King Saud bin Abdulaziz University for Health Sciences、Princess Nourah University、Prince Sultan Universityに訪問し、サウジ女性の大学生活や大学のサポート体制など「居場所としての大学」について、大学生と関係者へのヒアリングを実施した。 4.滞在中はサウジアラビア家族の家にホームステイし、彼女らを取り巻く家庭・家族・社会コミュニティーに参加する方法で参与観察を行った。彼女らの日常を観察した結果、「家族」が進学と就労参加への意識及び行動の主な規定要因となっていることが明らかになった。現在参与観察データの分析・文章化を進めており、所属学会の紀要等に研究論文を投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、サウジアラビアでの調査は順調に実施した。本来は、クウェート・アラブ首長国連邦での調査実施を予定していたが、予算の関係で実施できなかった。しかし、両国ともに研究協力者とは引き続きコンタクトを取っており、研究期間中の調査日程調整を含め、ある程度の研究の進捗を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
サウジアラビアでのインタビュー調査と参与観察の結果は資料としての取りまとめを行っている。今年度は分析・文章化を進め、国内・国際学会にて調査結果を報告するとともに所属学会の紀要等に研究論文を投稿する。また、2019年度に予定しつつも訪問がかなわなかった、クウェート・アラブ首長国連邦の調査を調整している。ただし、新型コロナウィルス感染症の影響から海外渡航調査については、情勢を見極めながら、必要に応じて予定の再調整を行うこととする。
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