研究課題/領域番号 |
19K14135
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研究機関 | LEC東京リーガルマインド大学院大学 |
研究代表者 |
劉 昊 LEC東京リーガルマインド大学院大学, 高度専門職研究科, 講師 (80808220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 進路形成 / エスニック・ビジネス事業所 / 育ちの場 / 伝統的規範 / 将来展望 / 大学進学 / 中国系ニューカマー第2世代 |
研究実績の概要 |
2020年度の実績は以下のとおりである。 ◆2019年度に実施したインタビュー調査をもとに、日本国内で地域移動を伴う大学進学をした中国系ニューカマー青年の将来展望を検討した。検討内容を論文にまとめ(2019年度報告書参照)、日本国際教育学会の学会誌に投稿した。その結果、当該学会の学会誌である『国際教育』26号に採択された。 論文名:劉昊(2020)「中国系第2世代の将来展望ー大学進学後の経験に着目してー」『国際教育』26号, pp.1-17.
◆2020年度は新型コロナウィルスの影響により、インタビュー調査をほとんど行うことができず、ZOOMを使用したインタビューを1件実施するにとどまった。そのため、当初の構想どおりの検討を行うことができなかった。しかし、当該インタビューデータ及び過去のデータを用いて、当初とは異なる視点を設定し、中国系第2世代の進路形成を検討した。具体的には、両親が経営する中華料理店(以下、店)を手伝う中国系第2世代を対象に、エスニック・ビジネス事業所の「育ちの場」としての側面に注目した。その結果、調査対象者が店を手伝う背景には、中国の伝統的規範の影響があった点が明らかになった。親との関係性に起因して、店の手伝いが嫌になった対象者は、店からの脱出を図るために地域移動を行った。しかし、その後再度店を手伝った経験から、「中国人ネットワークへの参加」「中国に対する関心の獲得と学びの捉え直し」など、対象者にとって、店が「中国との再接続の場」としての役割を果たしている点が明らかになった。 現在、当該内容を論文にまとめ、日本比較文化学会の学会誌である『比較文化研究』144号に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、中国系ニューカマーの進路に関して、日本国内の地域移動と国家間を跨るトランスナショナルな移動の双方から検討ことを目的としている。当初は、両者を比較するために中国での調査を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、2020年度も予定を断念せざるを得なかった。また、日本国内での調査もほとんど行うことができず、ZOOMを使用して少数のインタビューができたのみであった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、同テーマでの研究を行う予定であるが、新型コロナウィルスの感染拡大によって、調査の可否は不透明である。国内外における移動を伴う調査が困難な場合は、ZOOMなどの通信ツールを用いてインタビューを行う予定である。しかしながら、オンライン調査は調査対象者の環境にも左右されるため、対象者を見つけることが困難な状況である。 そのため、「ニューカマー青年の進路意識」という大枠は維持しつつも、当初設定した視点とは異なる視点への変更も視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年は、新型コロナウィルスの影響で実施できなかった。 そのため、旅費や人件費に充当する予定の金額が次年度使用額として発生した。
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