研究課題/領域番号 |
19K14135
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研究機関 | LEC東京リーガルマインド大学院大学 |
研究代表者 |
劉 昊 LEC東京リーガルマインド大学院大学, 高度専門職研究科, 准教授 (80808220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国系移民第2世代 / ニューカマー / 進路意識 / 地域移動 / エスニック・ビジネス事業所 / オートエスノグラフィー / 当事者研究 |
研究実績の概要 |
◆中国系第2世代の「場」と進路形成の関係に関する研究 本研究では、中国系第2世代の進路意識を検討した。その際に、親が経営する中華料理店を手伝う中国系第2世代を対象に、エスニック・ビジネス事業所の「育ちの場」としての側面に注目した。その結果、対象者が店を手伝う背景には、中国の伝統的規範の影響があった点が明らかになった。親との関係性に起因し て、店の手伝いが嫌になった対象者は、店からの脱出を図るために地域移動を行った。そして「中国人ネットワークへの参 加」「中国に対する関心の獲得と学びの捉え直し」など、対象者にとって、店が「中国との再接続の場」としての役割を果たしている点が明らかになった。 当該研究内容は、2020年度末の時点で日本比較文化学会に投稿しているが、2021年度は修正に取り組み採択が決定した。 論文名:劉昊(2021)「育ちの場としてのエスニック・ビジネス事業所―中華料理店を事例として―」『比較文化研究』144号、pp.167-176. ◆英文誌へのオートエスノグラフィー研究投稿 2018年執筆の「在日中国人ニューカマーとしての『私』の成長物語―オートエスノグラフィーを手がかりに―」に加筆修正し、査読付英文誌に再投稿した。その結果、『STAD』vol.3に採択された。本研究では、筆者の成長物語を分析し、筆者の進路形成に居場所や重要な他者がどのような影響を及ぼしたのかを検討した。本課題では、中国系第2世代の進路形成に焦点を当てており、当事者である「私」の視点から自身の進路意識を語ることは重要な示唆を与えると考えられる。 論文名:Hao, Liu. (2022). Growing Up Chinese in Japan: An Autoethnography. SOCIAL THEORY and DYNAMICS, 3, 142-157.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も新型コロナ感染症の影響で、理想的な調査はできなかった。 状況次第で、中国での調査を行う予定であったが、中国への入国が困難だったため、断念せざるを得なかった。 日本国内におけるインタビュー調査も、対面で実施できたのは2件のみであった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が始まった当初は、中国と日本双方で調査を行い、中国系移民第2世代の進路意識における「国家間移動」と「地域移動」の比較研究を行う予定であった。しかし、新型コロナの影響で、中国での調査は断念せざるを得ないと考えている。そのため、2022年度は、日本国内に限定して、調査を進める予定である。 2021年度は、インタビューを引き受けてくれる対象者が少なかったが、2022年度は、5月時点で7名の調査協力者の同意を得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間を1年間延長申請したため、2022年度に使用する額が生じた。
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