研究実績の概要 |
最終年度である2023年度は、5年間の研究成果をまとめることに取り組んだ。具体的には、前年(2022)度に実施したアンケート調査とインタビュー調査のデータを分析し、その結果を学会報告や論文投稿として公表した。主な実績は次の通りである。 ① 調査結果の分析:2022年度に実施したアンケート調査(209名)とインタビュー調査(73名)で得られたデータを、多重対応分析を用いた混合研究法により分析し、派遣教員の志望動機、赴任先での教育スタンス及び教育活動の特徴、帰国後の教育実践を明らかにした。また、コロナ禍に在外教育施設に派遣されていた教員に焦点化した分析も行ない、かれらの危機対応の経験を明らかにした。いずれの分析についても、2020-2021年度に構築した分析モデルや理論枠組みを適用しながら実施した。 ②研究成果の公表:①の分析結果を学会大会や研究協議会などにおいて報告した。派遣教員の教育スタンスとコロナ禍の経験については異文化間教育学会と日本教育社会学会で発表し、派遣教員の志望動機と帰国後の教育実践については東海ブロックの海外子女教育・国際理解教育研究協議会で報告した。前者については、「在外教育施設派遣教員の教育スタンスに関する分析」(『社会学論集』23号, 2024年3月)及び「日本人学校教員はいかにコロナ禍を経験したか」(『教育学研究』91巻1号, 2024年3月)として刊行された。また、後者についても論文化を進めており、一部はすでに複数の学会誌に投稿中である。 本研究は、新型コロナウイルス感染症の大流行により調査の実施が大幅に遅れたため、研究期間を1年間延長した。その結果、当初の研究目標を十分に達成することができた。今後は、本研究で得られたデータや知見を応用し、新たな研究を進めていく予定である。
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