研究課題/領域番号 |
19K14146
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
大島 聖美 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (00710089)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 親チーム / 夫婦 / 幼児期の子ども / 半構造化面接 / M-GTA |
研究実績の概要 |
R3年度はこれまでのインタビュー調査の結果を修正版グラウンデッド・セオリーを用いてまとめ、「夫婦が親チームになっていうプロセス:幼児期の子どもを持つ夫婦を対象とした質的研究」と題して論文化することができた。論文化に当たっては、何度も共著者とミーティングを行い、概念やカテゴリーの意味や位置づけについて議論した。また、他にも査読者を含め、多くの研究者に論文を読んでもらったり、ヒントとなる本や論文を紹介してもらったりし、興味深い結果が示された。 本研究では夫婦がチームとして育児家事を分担していく相互影響過程を明らかにすることを目的に,幼児期の子どもを持つ夫婦21組を対象に半構造化面接を行った。修正版グラウンデッドセオリー法を用いて検討した結果,その結果,夫婦が【子の誕生前後の家庭観】を持ちつつ【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】を行う中で,【思い通りにいかないことが出て】きたり,そのことによって【お互いに察してほしいの悪循環】になったりしつつも,【葛藤に対処し】,徐々に【親チームになっていく】過程が明らかとなった。この結果から夫婦間の相互作用において,夫婦は【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】や【葛藤に対処する】という関係内の肯定的側面と【思い通りにいかないことが出てくる】や【お互いに察してほしいの悪循環】といった否定的側面を行き来しつつ,肯定的側面が否定的側面を上回る時,【親チームとなっていく】ことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスのために研究を実施することが難しかったが、代わりに論文執筆に専念することができた。現在、質問紙作成に向けて項目の選定を行っており、今年度中に質問紙調査が行える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査の実施を外部の業者(クロス・マーケティング社)に委託することを検討している。現在、夫婦間コペアレンティングに影響を与える要因として、すでに終了しているインタビュー調査(大島・鈴木・西村,2022)」で得られた知見を再吟味するとともに、様々な文献を読み、いわゆる「名もなき家事」のようなお互いの実施している家事や育児への理解が夫婦間コペアレンティングに与える影響を検討する予定である。現在質問紙の項目を練っており、項目が完成次第、業者と金額を相談しながら実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症のため研究の予備的調査の実施が難しかったことと、オンラインを駆使した授業転換への対応も重なり、インタビュー調査(大島・鈴木・西村,2022)の分析と論文執筆に予想よりも多くの時間がかかってしまった。そのため予算を使用することができず、次年度へと持ち越しとなった。 現在急ピッチで質問紙調査へ向けて文献購読や他の研究者との話し合いを重ねており、残額はすべて質問紙調査の外部委託費として使用する予定である。できる限り夏休み前に質問紙案を完成させ、委託業者と打合せ、夏休み中に質問紙調査の実施を終え、後期に分析を行い、発達心理学会等で発表したいと計画している。
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