研究課題/領域番号 |
19K14148
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研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
伊原 小百合 共栄大学, 教育学部, 講師 (50837490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 楽器 / 幼児 / 保育 / 太鼓 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)幼児の主体的な探索を促し、且つその身体的発達に相応しい楽器の特性について明らかにすること、(2)(1)の結果を踏まえ、保育現場における楽器の実践に関して、楽器の選択や配置等の環境構成の観点から具体的な提言をすることである。研究手法は、幼稚園でのフィールドワークと、幼児が太鼓を叩く際の手の動きの分析が中心となる。筆者はこれまでの自身の研究から、幼児は音を想像して身体をコントロールし、予期的に身体を動かす能力を獲得していくのではないかという仮説を得ているが(伊原 2021)幼児期の手の発達に関する研究は少ない(Pehoski 2010ほか)。本研究は、太鼓を叩く幼児の手の動きに焦点化し、微細な視点から幼児の叩き方を分析することで、楽器にかかわる幼児の発達過程を明らかにしようとするものである。 2022年度は、幼児の手の動きの測定を継続して行い、年齢ごとの比較やそれぞれの特徴についての分析を行った。本年度は、年度内に2回の測定を実施することができた。具体的には幼稚園での自由遊びの時間にジャンベを持ち込み、ジャンベを叩く幼児の手の動き(手の位置、速度、加速度)を、マーカーレスタイプのモーションキャプチャシステムを用いて測定した。マーカーレスであるため、幼児の身体的負担は無い。前年度までの測定過程の反省を生かし、幼児の動きを測定しやすい楽器の配置や動線を工夫した。年少児・年中児・年長児のデータを収集したが、本年度はこれまであまりデータが取れていなかった年少児のデータ収集と分析に特に注力した。分析の結果、年少児の叩き方の特徴や年齢による叩き方の違いが明らかとなってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までは、新型コロナウイルスの影響で研究の実施に遅れが生じていたが、本年度は感染症対策を取りながら、幼稚園でのフィールドワークを実施することができた。動きの測定が困難であった年少児のデータも収集することができ、分析結果を学会にて報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
子どもの動きのように、速度の速い動きを正確に測定することが難しい状況である。またそうした速い動きをグラフ化する際には、特に手の動きについて、平均の取り方を工夫する必要があることが分かってきた。今後は測定できるコマ数を増やすなどシステムの改善を図りながら、さらに正確なデータを取れるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年以降新型コロナウイルス感染症の影響により、一時フィールドワークを中断せざるを得ない状況となり、測定のための費用を使用できなかった。加えて多くの学会がオンライン開催となり、当初の予定よりも旅費の使用が少なかった。現在はフィールドワークや測定を再開することができており、また次年度は対面にて開催される学会での発表を予定しているため、今後は当初の計画通りに費用を使用する予定である。
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