研究課題/領域番号 |
19K14149
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研究機関 | 川口短期大学 |
研究代表者 |
清水 美紀 川口短期大学, その他部局等, 講師 (10838387)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無償化 / 保育・幼児教育政策 / 子育て / 公費負担 |
研究実績の概要 |
本研究では、幼児教育・保育の無償化政策に関する議論に着目することを通して、現在、子育てや幼児教育・保育における公的役割がどのように捉えられているのか、という点を明らかにすることを試みている。 今年度(2021年度)は主に、幼児教育・保育の無償化政策が実装されるにあたり登場した「人づくり」という語を手掛かりに、言説研究をおこなった。政策決定のプロセスにおいて、「人づくり」という語が要請されたのはなぜなのか、この点を明らかにするために次の2つの分析を実施した。 第一には、新聞記事分析から「人づくり」をめぐる社会的関心の変遷について検討した。第二には、とりわけ幼児教育・保育との関連から「人づくり」がどのように議論されてきたのかを分析した。具体的には、朝日新聞記事データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」を使用し、「人づくり」をキーワードとし、本紙(発行社は東京に限定)における記事件数を検索した。さらにそのうち、「保育」に関する内容を扱っている記事を抽出した。なお、分析の対象時期は、データベースが有効となっている1879年~2021年と設定した。 新聞記事上で「人づくり」という語が初めて登場したのは1962年で、以降「人づくり」という語は、1980年代中頃以降も断続的に社会的関心を集めていた。ただし、「人づくり」が「保育」との関連で議論されることはなかった。その後2017年に初めて、保育に関する議論、とくに幼児教育・保育の無償化議論と「人づくり」言説が接合されていったことが分かった。また、「人づくり」の意味内容という点からも、1960年代当初の「人づくり」と2017年時点での「人づくり」には相違があることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画には問題はなかったものの、資料の選定や分析方針の検討に時間を要してしまい、当初の予定よりもやや遅れている。幼児教育・保育をめぐる親の選好に関する研究については、文献研究を中心に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度分析対象とした資料に加えて、1960年代における無償化議論に関する史料収集および分析を進める予定である。今年度の研究成果と合わせて学会誌等への論文投稿をおこないたい。 加えて、当初の計画にある政策への「選好」に関する調査研究にも着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も、研究成果や資料収集のための国内・国外への出張機会をもつことができなかったため、当初予定していた出張旅費が発生しなかった。次年度は、国内への出張旅費ほか、国内外のアーカイブスへのアクセス、文献貸借や調査研究のための使用を予定している。
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