研究課題/領域番号 |
19K14152
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
安部 孝文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30794953)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 身体活動 / 子ども / 社会環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の子どもの身体活動や体力に格差を生み出すメカニズムを明らかにするために、地域全体の子どもを包括的にモニタリングするシステムを構築し、1)子どもの身体活動に影響する社会経済的要因および物理的環境要因は何かを検証する。そして、ここで得た成果をもとに、2)体力に与える影響を長期的に検証することである。初年度の横断研究により、地域全体の幼児、小学生、中学生の身体活動実施量を明らかにし、さらに一貫して男児の身体活動実施率の高さ(性差)を認めた。さらに小学生および中学生においては、身体活動に対する好みや居住地(人口密度)との関連を認めた。 2年目である本年度は、追跡データの収集と整理体制の構築、そして研究2)を行うための理論構築を実施した。研究1では、初年度のベースラインデータに追跡データを連結し、身体活動に関連する環境要因を縦断的に検討した。得られた成果は以下の通りである。①1461名の小学4年生から中学2年生の1年後の身体活動をアウトカムに縦断的分析を行い、性、ベースライン時の学年、身体活動の実施の有無、身体活動に対する好み、そして居住地(人口の多さ、可住地の広さ)との関連を認めた。②進学に焦点化した分析では、278名の小学6年生が中学1年生に進学した際の身体活動実施量と関連が認められたのは、ベースライン時の身体活動の実施の有無、身体活動に対する好み、そして居住地(可住地の広さ)であった。 さらにモニタリングシステムの構築に際し、データを関係部局の教育的政策立案と評価に活用するため、結果のフィードバックの評価表を開発し、その機能を新しく付与した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた2020年度の研究計画に基づく進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度(最終年度)は、研究計画に基づき、以下の通り実施する。 1.追跡データ収集・整理…関係部局との調整をして、就学前期と就学期の体力データを収集する。 2.解析の実施…社会経済的要因と身体活動の関連について縦断的に検証するとともに、解析結果に基づく仮説から体力データを用いた分析を行う。 3.結果公表…得られた知見をもとに学会発表および論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、学会発表がオンライン型での実施に変更になったために、予定していた旅費の支出の必要がなくなった。研究期間の最終年度は、研究計画の推進に加え、学会や論文発表などの機会を増やし、研究成果の発信につなげる予定である。
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