本年度(最終年度)は、学校・行政の協力のもと追跡データをさらに収集し、幼児期から小学校までの経時的なデータベースを構築した。特に、これまで実施した研究成果から得た仮説に基づいて、縦断データの分析・検証を行った。主な結果は以下の通りである。 ①町単位で社会経済・物理的環境要因の変数を作成し、小学4年生から中学1年生の質問紙で評価した2年間(3時点)の追跡した中高強度身体活動(1日60分を週7日と週4日以上)と高強度身体活動(1日30分を週4日以上)の実施との関連をそれぞれ分析したところ、近隣の人口密度、人口、そして教育到達状況との有意な正の関連が認められた。しかしながら、高強度身体活動とは有意な関連は認められなかった。②幼児(年少から年長児)を対象に保護者による評価に基づく身体活動量を分析したところ、施設別の推奨身体活動量の変動は大きいものの、施設種別による違いは認められなかった。③次に、就学前期から小学校高学年までの体力測定の追跡データを男女別に分析したところ、男子では全ての幼児の年齢において、短距離走、ソフトボール投げ、立ち幅跳びについて中程度以上の正の相関関係がみられた。女子は、年中・年長児時点の測定値と小学校高学年時と相関がみられた。
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