研究課題/領域番号 |
19K14158
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
金子 嘉秀 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 助教 (60735281)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソーシャルスキル / 社会的スキル / 低年齢幼児 / 保育所保育 |
研究実績の概要 |
研究実施計画の通り、東京都内のA認可保育園の1・2歳児合同クラスに在籍する園児を対象として、原則週1回のフィールドワークを実施した。特に、繰り返しのある場面として食事場面に着目し、定型句的な言語によるアピールの変化、ならびに非言語的なアピール方法との関連性を観点としてデータを収集した。加えて、園庭、児童遊園、保育室等での遊び中の仲間との関わりの中における社会的スキルの使用についても、その獲得促進要因やアピールスキルを中心とした社会的スキル発達の段階性を検討するため、事例収集を開始した。 日本保育学会第71回大会では「低年齢幼児の要求スキルの発達」と題し、本研究の仮説構築のために行った探索的観察期間中のデータを用いて、アピール方略について抽出の上、姿勢、動作、ならびに移動や言語の使用を基準とした整理分類を行い、月齢などによる傾向について検討した。 また、PECERA(環太平洋乳幼児教育学会)2019年大会(於:台湾)において、食事場面におけるノンバーバルなアピール手段や定型句を用いたバーバルなアピール手段の保育環境、食事場面の状況に埋め込まれた獲得過程に関する仮説を発表した。 さらに、対象としたクラスにおいて月齢の低いに1歳児3名の定型句的なアピールスキルの獲得過程について事例検討を行い、「低年齢幼児の保育環境下における社会的スキルの発達に関する小考」と題した論考を執筆し、『多様化時代の社会科授業デザイン』(仮)に掲載し、出版予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の年間を通じたフィールドワークを研究計画通りに実施し、十分な観察データの蓄積を行うことが出来た。これらの収集したデータは現在、事例等を分析中である。また、本研究におけるアピールスキルの分類枠組みや、獲得過程に関する現時点での仮説について、日本保育学会第71回大会、PECERA2019(国際乳幼児教育学会・査読あり)といった学会で発表を行い、国内外の研究者と意見を交換することが出来た。また少数事例の比較を下にした小考をまとめ、出版予定であるため、概ね順調に進展していると評価しうる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス肺炎流行拡大のため、研究計画上予定していた、今年度の保育所でのフィールドワーク調査開始時期が遅れる予定である。また感染防止対策として、1)対象とする観察場面などを再検討し、屋外での観察を主とすることで観察対象者の安全対策を講じると共に、2)昨年度のフィールドワーク調査の結果として、園児自身の社会的スキル獲得過程のみならず、保育者の社会的スキル支援援助方法並びに保育観なども考慮に入れた仮説モデルの構築と調査・観察方法の再設計を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった国際学会1件について、大学内業務との日程重複のため参加を見合わせたこと、並びに観察者間一致率の検討のためのリサーチアシスタントによる分析作業依頼を次年度に持ち越ししたために生じた。 次年度使用額については、昨年度の観察データに基づく事例検討について、観察者間一致率検定のためのリサーチアシスタントによるデータ分析環境を整え、有償での作業を依頼する際に使用する。
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