本研究では幼少期の母子関係支援が急務であるASD児およびADHD児とその母親の情緒応答性の特徴についてそれぞれ把握することを目的としている。 2021年度も引き続き,コロナウィルス感染拡大の影響があったものの,児童館および子ども園それぞれ1施設で研究協力の了承を得たため,12組の定型発達の親子を対象に約30分の観察(禁止課題場面,自由遊び場面,親子分離場面,片付け場面,課題遊び場面,おやつ場面)を実施し,その録画をもとに,情緒応答性評価の認定を受けた評価者が評価を行った。 一方,療育施設においてはコロナウィルスの影響で研究実施ができなかったため,過去(2017年~2020年)のデータのうち,ADHD-RSのカットオフを超えるもの10組をADHD傾向群とし,11組の定型発達群との比較を行った。その結果を紀要に掲載した(ADHD傾向児はSuwa他(2012)の定型発達児と比較して,親に対する反応や巻き込みが低いこと,ADHD傾向児の母親は,子どもへの干渉や攻撃的な情緒表出は高くなるものの,子どもに敏感に反応したり,その場をうまく構造化している可能性が明らかとなった)。また,同様に,過去(2017年~2020年)のデータのうち,ASDの診断名がある者かつCHEDYという発達障害のスクリーニング検査のうちASDのカットオフを超えるものをASD群とし,定型発達群との比較を行い,今後論文へ投稿予定である。
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