研究課題/領域番号 |
19K14169
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
田村 菜穂美 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任助教 (80836164)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子ども / 精神神経発達障害 / 前向きコーホート / 発達支援 / 経時データ解析 |
研究実績の概要 |
ASD(Autism spectrum disorder)やADHD(Attention deficit and hyperactivity disorder、注意欠如多動症)をはじめとする発達障害をもつ子どもが増加している。発達障害は早期発見・早期支援の実施が重要である。発達障害症状は就学後に顕在化することもあるが、日本の精神神経発達の全体検診は就学前健診までである。そのため、発達支援を必要とする全ての人に発達支援が行き届いているのかは不明である。本研究の目的は日本の発達障害を持つ子どもの早期診断・支援体制の整備に必要な疫学的エビデンスを提供することである。出生コーホート研究を用いて子どもの5歳、6歳、8歳、13歳で測定した発達障害指標の軌跡を明らかにする。また、子どもが受けた発達支援とその時期について調査する。発達障害の傾向は、SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire、強さと困難さの質問票)(Matsuishi et al. 2008)、ADHD-RS(Attention Deficit Hyperactivity Disorder-Rating Scale、ADHDスクリーニング尺度)、ASSQ(Autism Spectrum Screening Questionnaire:ASDスクリーニング尺度)を用いてでバッテリーを組み、総合的に評価する。経時的に観察した精神神経発達について、発達支援の影響を一般化線形混合モデルで効果を予測する。また、精神神経発達指標の得点が基準値を超えた対象者の中で、支援を受けた人と受けなかった人の特徴を比較する。目的変数を支援の有無、説明変数を両親と子どもの特徴として、一般化線形モデルで相対リスク比を求める。今後の発達支援体制の構築に方向性を与えることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに終了した5歳児、6歳児に対するSDQ、ADHD-RS、SCQの調査に加えて、8歳児に対してADHD-RS、ASSQの調査が進行している。また、13歳児への調査については予定を拡大して、より幅広い年齢の9~17歳児に対して、SDQおよびこれまでに受けた発達支援に関する調査票を約3000件発送した。
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今後の研究の推進方策 |
引きつづき、8歳児に対するADHD-RS、ASSQの調査、9~17歳児に対するSDQおよびこれまでに受けた発達支援に関する調査票の送付を継続する。また、ADHD-RS、ASSQの調査票を13歳児に対して実施する。収集した発達指標の得点を集計し、その軌跡を示す。加えて、経時的に観察した精神神経発達について、発達支援の影響を一般化線形混合モデルで効果を予測する。また、精神神経発達指標の得点が基準値を超えた対象者の中で、支援を受けた人と受けなかった人の特徴を比較する。目的変数を支援の有無、説明変数を両親と子どもの特徴として、一般化線形モデルで相対リスク比を求める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度分の調査票発送費用が、他の調査と共同での発送となったため、郵送費と謝金が予定額より少ない執行となった。2020年度には、2019年度の共同調査でカバーできなかった13歳児への調査票の発送を行うため、2020年度に昨年度分の残額も合わせて執行予定である。
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