研究課題/領域番号 |
19K14170
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
黒谷 佳代 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (50610739)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フードパントリー / 子ども食堂 / 食支援 / 食育 / コロナ禍 |
研究実績の概要 |
当初、子ども食堂参加者を対象とした追跡調査を実施予定であったが、調査協力施設が子ども食堂開催を自粛していたため、調査は実施できなかった。しかし、子ども食堂運営者が食料を配布する活動(フードパントリー)を始めるケースが増加している。そこで、都内某市において、これまでに子ども食堂における調査で協力してくださっていた運営者の関わるフードパントリーにおいて、コロナ禍で生活が苦しくなった大学生・大学院生・専門学校生を対象に利用者のニーズや運営者の想いについて、アンケート調査した。 フードパントリーでは、実行委員としても参画した。フードパントリーにおける配布食品は、3日分計9食の食品キットとし、日本人の食事摂取基準(2020年版)を参照し、エネルギー、エネルギー産生栄養素、食塩などの基準に沿ったバランスの良い食品の組み合わせを作成した。さらに、食品キットと連動したレシピ集を合わせて配布した。 アンケートの結果、フードパントリーの利用者は、一人暮らしの学生が多く、男女ともに、半数以上の人が1日1回以上、自炊をしていた。食生活の困りごととしては、栄養バランス面、献立のレパートリーが少ないことなどがあげられた。また、普段の食事で重視してることとしては、コストと手軽さが挙げられたが、それに加え、男性では美味しさ、女性では栄養バランスを重視している人が多いことが分かった。欲しい情報としては、レシピ、自炊のコツ、栄養バランスのとり方、食品の選び方や保存方法、節約方法などが多く挙げられた。また、フードパントリーでもらえると嬉しい食品として、野菜、果物が特に多いことが分かった。心身の健康においては、不安やストレスを感じることが多い人が半数以上を占めていることも分かった。 引き続き研究目的達成に向け、食支援を介した健康問題解決システム構築のための子ども食堂やフードパントリーの在り方を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定の子ども食堂利用者の追跡調査はできなかったが、フードパントリーにおける利用者と運営者へのアンケート調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後もフードパントリーにおける利用者の実態把握に関する調査を実施する。これまでの調査では、食事摂取状況についての把握ができていなかったため、食事摂取状況調査に加え、非侵襲的・客観的に野菜摂取状況を把握できるベジメータを活用した食事の評価を実施する。フードパントリーの実施に関する実践活動報告とアンケート結果を基にした論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、フードパントリーにおいて、利用者と運営者へのアンケート調査を実施した。しかし、新型コロナウイルス対策のため、長時間の調査実施は難しく、簡易なアンケート調査しか実施ができていない。そのため、今年度の使用額が当初の予定額に比べ少なくなった。 次年度は、詳細な食事調査にてフードパントリーの利用者の食事摂取状況を明らかにするため、短時間(1分/人)で野菜摂取状況を反映する皮膚カロテノイドが測定できるベジメータを用い、客観的かつ簡易な食事評価手法の導入をすることとした。
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