研究実績の概要 |
令和2年度の研究では、子ども期の逆境体験の中でも貧困・剥奪体験が子どもの発達に与える影響を分析した。東京都A区の小学1年生の保護者を対象にした横断調査の3年分(2015, 2017, 2019年、12,367人)を対象に、所得・生活関連の物質的剥奪・子どもの発達・教育的ニーズに関連した物質的剥奪と子どものメンタルヘルス(問題行動:SDQ total score)の関係を分析し、論文報告を行った。(Yamaoka Y, et al. Differential Effects of Multiple Dimensions of Poverty on Child Behavioral Problems: Results from the A-CHILD Study. 2021) 令和3年度の研究では、子どもの発達に与える保護効果を持つ要因を明らかにすることを目的に実施した。東京都A区の小学6年生の保護者を対象にした横断調査(2020年、4391人)のデータをもとに、地域活動への参加と子どものメンタルヘルス(問題行動:SDQ total score)の関係を分析した。特に2020年はコロナ禍の影響で様々な行事がキャンセルされたこともあり、地域活動(地域のお祭り、子ども会などの行事、避難訓練や地域清掃活動、公民館などでの教室や市民講座など)への過去1年間への参加の有無を調査した。地域活動の中でも、お祭りへの参加は問題行動の低下と関連し、向社会性の向上と関係していた。結果について、論文報告を行なった。(Yamaoka, Y, et al. Association between Children's Engagement in Community Cultural Activities and Their Mental Health during the COVID-19 Pandemic: Results from A-CHILD Study. 2021) さらに、小学校1年生から6年生までの縦断調査データ(2015, 2016, 2018, 2020年、2,705人)を用いて、子どものメンタルヘルスの経年的変化の分類(トラジェクトリー)を解析した。本結果は現在論文投稿中である。
|