研究課題/領域番号 |
19K14174
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
島田 浩二 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (00711128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育 / 子育て / 保育 / 社会脳 / 文化進化 / 社会神経科学 |
研究実績の概要 |
教育者の教育行動は、学習者の模倣行動と同等に累積的な文化進化の維持や革新にとって重要な役割を担っている。本研究課題では、大人(教育者側)から子ども(学習者側)への教育行動が、学習者に対する利他的側面を越えて、教育者の大人自身に対しても互恵的側面を持っているという仮説について検証に取り組み、教育能力の新たな機能的役割(可能性)を探究することを目指すものである。本年度は、研究③として、典型的な教育者である子育て中の養育者を対象にした教育(養育)行動のトレーニングが大人と子どもに与える効果の検証に取り組んでいる。研究に参加した養育者はトレーニングを受けるグループと受けないグループのどちらかに分けられた。トレーニングはBarkleyやUCLAに基づいたペアレント・トレーニングの日本版プログラムを用いて、毎週2時間のグループ・セッションを13回実施した。トレーニング前後の主なアウトカムは、養育者の養育スタイルやストレス、子どもの行動問題や認知機能(特に、抑制機能)などであった。主な結果として、トレーニングを受けた養育者では、それを受けなかった養育者に比べて、養育者のストレスやネガティブな養育スタイル(特に、怒鳴るしつけ)、子どもの行動問題(特に、不注意行動)などのスコアに減少が認められた。子どもの認知機能の抑制機能の中でも反応抑制の成績では向上が認められなかったが、反応選択の成績には向上が認められた。その他のデータに関しては解析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究③では成果を国際学術雑誌に報告した。その他の関連する研究データに関しても解析を進め、研究成果として報告するための論文執筆に取り組んでいる。その点で、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、認知神経科学研究のデータに関する詳細な解析をさらに進め、研究成果として報告するための論文執筆に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、研究成果報告に係る英語論文校閲料や論文投稿料などの研究費用が見積もられるため、本年度で繰り越した金額で充填する予定である。
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