研究実績の概要 |
在胎不当過小(small for gestational age: SGA)は、胎児期の発育不全を示すマーカーのひとつとして広く使用されている。浜松母と子の出生コホート研究(Hamamatsu Birth Cohort: HBC Study)により、SGAが早期の神経発達マイルストーン(例.台からの飛び降り、両足跳び、2語文、「ダメ」の理解、始語)の到達月齢に関連することが検討されてきた。現在、13~14歳となったHBC参加者を対象に、実行機能の指標として複合的なルールのマネージメント機能(Harada et al., Scientific Reports 2018, 2022)およびDimension Card Sorting Test(Zelazo et al., Nat Protoc 2006)の測定を進行した。まだHBC参加者に対する13~14歳時点でのフォローアップは完了していないものの、2023年3月末時点で327名から上述した課題のデータを収集済である。ルールマネージメント課題成績とDimension Card Sorting Testは、ともに実行機能における認知的柔軟性に関する指標のひとつとして捉えられるが、これまで収集したデータにおいて両者の成績は確かに有意な正の相関(r = 0.321, p < 0.001)を示した。データ収集完了後、これらの課題成績に基づく実行機能成績と、SGA、および母の妊娠中のやせや体重増加の不足との関連について検討を進めていく。
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