研究課題/領域番号 |
19K14179
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
阿久津 美紀 目白大学, 人間学部, 助教 (50823449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 記録管理 / アーカイブズ / 子どもの権利 / 児童養護施設 / 児童自立支援施設 / 児童相談所 / ケアリーヴァー / 個人情報 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会的養護に育つ子どもの知る権利を保障するために、どのような記録管理やアクセス支援があれば、必要な時に子どもたちが記録へアクセスできる体制を拡充できるのか、その方法や制度についての実態把握を目的とする。そのために、児童相談所等の自治体が管理する記録を対象に、記録管理と記録へのアクセスについて分析を行う。2年目の2020年度は、主に、2019年度に回収した児童相談所と公文書館・文書館を対象とするアンケートについての分析を行うとともに、その成果報告として、社会的養護で養育された当事者たちの活動が盛んな、オーストラリアのアーキビスト協会が開催する学会での発表の準備を進めた。オーストラリアでは、様々な施設で起こった虐待調査の報告書から、記録管理の重要性が指摘され、社会的養護における生活を記録する際に、子どもを記録の共同作成者とみなす考えを提唱している。このことは、虐待を未然に防ぐ可能性もある。 日本では、本研究のアンケートの調査結果から、日本の公文書館や資料館の多くが、自治体において社会的養護の記録を作成する部局から記録の移管を受けていない現状が明らかになっている。こうした課題の要因について、2021年度は専門家からヒアリングを行う予定である。2021年度は、国際学会での発表に向けて、国内調査を進めるとともに、既に2019年度に沖縄県公文書館や京都府立京都学歴彩館で収集した社会的養護に関する資料を整理し、社会的養護に関する記録や記録管理体制の実態把握に努めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度までに実施する予定であった研究対象とした自治体の調査は、新型コロナウイルスの感染状況の拡大や緊急事態宣言の影響により、当初の予定通りには進んでいない。しかしながら、2020年度に延期になった国際学会での発表が2021年度予定されているため、これまでの調査で確認できたことを中心にまとめ、成果発表を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめた本を出版する予定である。また、国際学会をはじめとして、現地に足を運ばなくてもオンラインでの発表が可能になったこともあり、2021年度は積極的に研究成果の発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会が延期となり、計上していた国際学会参加のための費用を支出することがなくなったため、2021年度へと繰越することになった。2021年度開催される国際学会がオンライン開催を決定しているため、繰越金は、2021年度に刊行する科研費での研究成果をまとめた著書の出版費用とする計画である。
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