2019年度は、保育者のストレスやその要因について国内外の文献検討をおこない、保育者養成校の学生に対して調査をおこなった。 「子どもが好き」という思いは多くの保育学生の共通項であり、大半の者が初めは保育士を一生の仕事にしたいとも考えるだろう。しかしながら、その全ての者が保育士になるとは限らないのが実情である。また、卒業後に保育者として就職しても3年以内に休職・退職してしまう潜在保育士の存在が保育者不足の問題をさらに深刻化している。加藤ら(2011)の調査では、半数の幼稚園や保育所で就職後3年未満の退職者がみられたという。筆者はこの保育者の早期離職に問題意識を感じたことから、改善策や今後の課題を導くために保育者を目指す学生の実態について研究をおこなった。仕事を続けるためには「やりぬく力」、「耐える力」と定義されているGRITが重要であり注目されている。GRITは、「すべてのキャリア(人生)に対して積極的に働くと考えられていることから、キャリア(人生)を豊かにする能力の一つとして考えられている。」保育者として仕事を続けていくためには、このGRITが重要になると考え、本保育者養成校の大学生におけるGRITに注目した。 A県内にあるB大学の保育者養成校において保育実習を終えた学生女子161名を対象として自記式質問紙調査をおこなった。なお、保育実習不参加の回答者1名は分析の対象外とした(女性160名、年齢20歳~21歳、有効回答率99%)。質問紙の内容は、①保育者効力感尺度(三木・桜井、1998)、②日本語版Grit-S尺度(西川ら、2015)、③日本版バーンアウト尺度である。結果より、バーンアウトとGRITは関連していることが本調査で明らかになった。さらに、保育者養成校の学生は先行研究よりもGRITが低いためにバーンアウトにもなりやすいのではないかと推測できた。その成果は、日本幼少児健康教育学会で紙面発表をおこなった。
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