本研究では新潟県A市の三歳児健康診査の視覚検査にて測定した3歳児の屈折度と,過去の記録より得た在胎週数および出生時体重との関係性について検討を行った。2020年度までにデータ測定を終えており,2021年度では今までに得たデータの解析および研究成果の公表を行った。得られた屈折度はパワーベクトル解析にて等価球面度数,J0 (直乱視,倒乱視の乱視成分),J45 (45度,135度方向の斜乱視成分) に分解して解析を行った。また得られた屈折度の集計結果を一般的な表記である球面度数,円柱度数とその軸の形式で示すために,Long法による値に置換し処理を行った。結果,未熟児網膜症等の眼疾患の無い3歳時の屈折度は出生時体重および在胎週数と関係がないことが明らかとなった。先行研究より出生直後の屈折度は在胎週数,出生時体重と関係することが報告されているものの,本研究の結果よりこの関係性は3歳時点では無くなっていることが明らかとなった。本研究の成果は国際誌に掲載された。また,今後の縦断的研究が必要であると考えられた。
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