研究課題
本研究は,「ハイリスク出生コホート」に基づき,当事者主体の発達支援プログラムを開発評価することを目的とする.本研究における当事者とはハイリスク児,養育者,関わる専門職すべてを示す.ハイリスク児の出生増加に伴い,発達支援の充実は喫緊の課題である(厚生労働省「人口動態統計」).本研究では,専門職からの一方向のプログラム提供ではなく,当事者の力を引き出すエンパワメントの視点から,当事者主体の発達支援プログラムを開発し,長期間に及ぶ追跡と多角的な効果判定を質的量的に実施する.これにより,当事者の力を引き出し,科学的根拠に基づく検証を行うことで,支援の継続と発展が期待される.本研究は以下の3つのPhaseで構成される.Phase1:根拠の提示:既存データを見直すとともに(量的分析),グループインタビューにより当事者の生の声から本質を聞き取り(質的分析),既存研究と統合させ,発達支援の根拠を提示する.Phase2:プログラムの実施:発達支援プログラムを作成し,準備的実施と修正を経て,全体に実施する.プログラムの対象者は,ハイリスク児および養育者とし,実施者は専門職とする.専門職は当事者が主体性をもってプログラムに参加できるようにサポートを行う.対象期間はNICU入院中から幼児期までとし発達段階別,対象特性別に実施する.Phase3:効果検証:効果検証の対象は,ハイリスク児,養育者,専門職とする.実施前後の量的比較,グループインタビューによる質的検討を行い効果を検証する.今年度は前年度に引き続きPhase1の既存データの見直し,養育者および専門職を対象とした調査を実施するとともに,結果を統合してPhase2(プログラムの実施)を開始した.今後は,これまでの成果の発信とともにPhase3(効果検証)へとつなげていく.
2: おおむね順調に進展している
本研究はPhase1:根拠の提示,Phase2:プログラムの実施,Phase3:効果検証から構成される。2021年度はPhase1,2に取り組み,成果発信を行った.開発したプログラムの特徴は①当事者主体の,②根拠に基づく,③長期的な,④多職種による包括的な視点をもつ発達支援プログラムである.子どもの発達が環境との相互作用である点を重視し,養育者支援を重視し,地域を含む環境面への働きかけも意図した包括的なプログラムである.プログラムの対象者は,ハイリスク児および養育者とし,実施者は専門職である.専門職は当事者が主体性をもってプログラムに参加できるようにサポートを行った.対象期間はNICU入院中から幼児期までとし発達段階別,対象特性別に実施する予定である.プログラム参加の応募を行い,参加者は約100件以上あり,行動観察および介入を開始している.また2022年度はPhase3移行の見込みもある.このため,概ね順調にしていると判断した.
本研究はPhase1:根拠の提示,Phase2:プログラムの実施,Phase3:効果検証から構成される。2021年度はPhase1,2の根拠の提示およびプログラム実施を順調に実施し,成果を報告済みである.2022年度はPhase3の効果検証を実施し成果を情報発信していくことに努める.効果検証の対象は,ハイリスク児,養育者,専門職とする.実施前後の量的比較,グループインタビューによる質的検討を行い効果を検証する.研究成果はホームページや,ニュースレターなどを通して社会に広く発信する.
当初予定していた、学会参加費および旅費,打ち合わせ旅費が不要であり,次年度使用が生じた。本研究では根拠に基づき,プログラムを実施し,実施後の効果検証を行い,成果を発信予定である.このため,①調査票印刷のための用紙(親子のかかわり評価,育児不安評価,育児環境評価),②既存の発達検査用紙(新版K式2001検査用紙),③データ入力および分析補助としての人件費,④データ保管用ハードディスク等の購入,⑤成果発信のための旅費が必要である.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Current Psychology
巻: 9 ページ: 210
10.1007/s12144-022-03171-2
Children
巻: 9 ページ: 210~210
10.3390/children9020210
巻: 8 ページ: 870~870
10.3390/children8100870