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2021 年度 実施状況報告書

ケニアにおける悪液質の実態調査と発症要因解明に関する新たな試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K14188
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

凪 幸世  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90772971)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード悪液質 / 住血吸虫症 / マラリア / ケニア / 子ども / 握力 / 顧みられない熱帯病(NTDs)
研究実績の概要

途上国の栄養不良を削減するためには感染症対策が不可欠である。また世界人口の約3分の1は寄生虫疾患による栄養不良と推定されており、健康上の大きな問題となっている。近年、栄養不良の新たな知見により、これまで終末期の栄養不良と捉えられていた病態(悪液質)が、基礎疾患に伴う炎症の存在下では、病初期においても生体内で様々な生理活性物質を分泌し、筋肉の減少・萎縮や脂肪の減少を引き起こすことが明らかとなっている。これらの知見の蓄積に伴い欧州臨床栄養代謝学会では2017年に疾病と炎症の有無により新たな栄養不良の分類を提言している。しかし、対象国を含め途上国においては握力や筋肉量など栄養不良を評価するための基準値がなく、死亡率の高い5歳未満の栄養不良をコントロール対策の指標とするため、学童期以降の栄養不良の状況や、そのうち悪液質が占める割合は十分には明らかとなっていない。さらに、寄生虫感染と栄養不良の発症要因との関連について総合的には解明されていない。

本研究では昨年度、栄養不良者のうち悪液質が占める割合を明らかにするために、共同研究によるサーベイ実施において1)世帯情報や社会経済状況などの基礎データ収集と、2)栄養不良の発症要因に関連する指標として、1)炎症性サイトカインの活性化、2)骨格筋組織と脂質の分解亢進、3)神経内分泌系の異常、4)インスリン抵抗性の亢進を評価するために、調査地域で蔓延しているマラリアや住血吸虫などの主な寄生虫の検出、各種身体測定と血液・便サンプルの収集を目的とした栄養疫学調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで新型コロナウイルス感染拡大に伴う移動制限に伴い、本国と現地共同研究者の協力を仰ぎながらリモートでの定期サーベイ実施について検討を重ねてきた。その結果、当初予定していた定期サーベイに加えて、学童期を対象とした栄養疫学調査を実施することが出来た。しかし、1)当初の予定からは定期サーベイの実施が遅れていること、2)栄養疫学調査により収集したサンプルの輸送の遅延から、研究はさまざまな協力が得られ大きく前進したものの、進捗としては、やや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、栄養不良の発症要因に関連する様々な生体内生理活性物質を酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)と各種血液生化学検査法を用いて測定する。また特異的な遺伝子配列を増幅するプライマーを用いたPCR法によりマラリア、住血吸虫などの病原体の検出を行う。

次年度使用額が生じた理由

本研究では血液サンプルをケニアから保冷状態で輸送する必要があり郵送便では条件が満たされない。そのため申請者や共同研究機関協力者等がサンプルの保冷状態を確保した上で運搬する必要があるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う学内の渡航制限から申請者は渡航が叶わず、研究協力者の渡航計画にサンプル輸送を依存する状態が生じた。実験資材のうち使用期限が短い検査キットや試薬類などについてはサンプル輸送の調整を行った上で次年度以降の調達を行う。

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公開日: 2022-12-28  

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