研究課題/領域番号 |
19K14191
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
二宮 祐子 和洋女子大学, 家政学部, 准教授 (80758269)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療的ケア児 / フィールドワーク / インタビュー / 参与観察 |
研究実績の概要 |
研究2年目の2020年度は、研究協力園にてフィールドワークを実施する予定であった。しかしながら、コロナ禍の情勢により、研究協力園に立ち入ることがかなわず、現地における調査を実施することが不可能となった。 そこで、研究1年目に収集したデータをもとに、原著論文「医療的ケアを必要とする子どもへの保育実践の機能―認可保育所におけるフィールドワークによる探究―」を執筆し、投稿した。本論文では、医療的ケアを必要とする子どもが必要とする様々なサービスの中で,保育所保育がもつ特長的な機能について探究し,その効果を十分にひきだすための支援のあり方について検討することを研究目的とした.医療的ケア児の受け入れを行っている保育所における参与観察、および所長やクラス担任保育者を対象とするインタビューにより、医療的ケア児が在籍するクラスにおける保育実践が、本人やその周りの子ども達に対して、預かり機能以外にどのような保育の機能があったのかという観点から検討を行った。その結果、6つの機能(①様々な感情の経験,②仲間関係の形成,③試行錯誤の促進,④自己主張と自己抑制の促進があり,⑤様々な職員との相互作用,⑥様々な子どもとの相互作用)が見いだされた。さらに、これらの機能を十分に発揮させるために必要な配慮事項として、主治医による指示書などの「絶対的配慮事項(保育中でも必ず遵守しなければならない事柄)」と、保育者独自判断で実施できる「裁量的配慮事項」の2種類の存在が見いだされ、この2種類の配慮事項を両立されることの困難さについても考察した。 査読結果については、5月中旬に「修正を条件に採択」との判定をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象が、感染リスクの極めて高く、生命の危機にさらされやすい医療的ケアを必要とする子ども達であるだけに、外部の人間である研究者の立場で、調査園に出入りすることは憚られる状態が続いている。このため、2020年度は、参与観察やインタビューを伴うフィールドワークを実施することはできなかった。 調査園との関係を保つために、定期的に様子伺いの連絡や時候の挨拶は行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年5月より、調査を再開する予定であったが、4月末の緊急事態宣言の発出により、引き続き、調査は控えざるをえない状況にある。調査については、調査対象である医療的ケアのあるお子さんのクラスの状況に加え、社会情勢にも大きく左右されるため、今後の見通しは立てにくい。調査ができる情勢となるまで、2019年度に収集したデータの整理や分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために、園訪問等を中止したため、旅費等において残金が生じた。2021年度は、社会情勢等を鑑みつつ、フィールドワークや園訪問を再開したい。
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