本研究の目的は、施設型保育事業および地域型保育事業として、医療的ケア児への保育サービスを実施している認可保育所を対象として、参与観察やインタビューなどのフィールドワークを行うことにより、保育者による医療的ケア児への子育て子育ち支援プロセスを解明して、体系的に理論化を行い、支援プログラムへとつなげていくことであった。 2019年度は、川崎市・横浜市・八王子市・A市・B市(いずれも匿名希望)において、医療的ケア児支援の経験のある保育者へのヒアリングを実施して、観察のための視点を絞り込んだり、分析の枠組を構築したりすることに努めた。また、フィールドワーク実施予定園のクラス保育に参加し、クラス担任や子ども達とのラポール形成に努めた。2020年度は、コロナ禍のさなかではあったが、川崎市・横浜市・八王子市・C市(匿名希望)において、医療的ケア児受入のある実践現場における本調査(インタビュー,参与観察)を、Zoom 等も活用しながらすすめ、データ収集と分析をすすめた。2021年度は、医療的ケア児の育ちに対して保育実践が及ぼす影響と意義に焦点をあて、保育所保育の機能について理論的に考察した。その成果をもとに論文執筆を行い、日本子ども家庭福祉学会紀要への投稿したところ、原著論文として採択された。2022年度は、医療的ケア児保育をプログラム化にむけ、引き続き川崎市・港区・横浜市・八王子市・茅ヶ崎市の保育所においてフィールドワークを実施して、データ収集を行った。今後、これらのデータを分析し、プログラムの策定にむけた研究を継続する予定である。
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