研究課題/領域番号 |
19K14194
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研究機関 | 近畿大学九州短期大学 |
研究代表者 |
垂見 直樹 近畿大学九州短期大学, 保育科, 准教授 (10581473)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インクルーシブ保育 / 前向きな態度 / 保育者の経験 |
研究実績の概要 |
インクルーシブ保育の欧文献における動向をレビューするため、約100報の文献収集を終え、レビューした(日本保育学会73回大会で発表予定→大会中止)。ジャーナルは、①CONTEMPORARY ISSUES IN EARLY CHILDHOOD②EUROPEAN EARLY CHILDHOOD EDUCATION RESEARCH JOURNAL③INTERNATIONAL JOURNAL OF EARLY CHILDHOOD SPECIAL EDUCATION④JOURNAL OF EARLY CHILDHOOD RESEARCH⑤EARLY CHILDHOOD EDUCATION JOURNAL⑥EARLY CHILD DEVELOPMENT and CARE⑦EARLY CHILDHOOD EDUCATION JOURNALの7誌を中心とした。 分析の結果、日本と比較して論点と対象とする子どものニーズが多岐にわたることが明らかになった。日本のインクルーシブ保育は、障害児を対象とした統合保育からの発展の系譜が確認されるが、海外においては、障害をはじめ、言語的マイノリティ、民族的マイノリティなどを対象として含みこんでいることに加え、多様で細分化されたニーズに焦点化された分析がなされていた。 今後予定している調査研究では、申請のとおりインクルーシブ保育に「前向きな態度」が形成される機序を明らかにする。日本の保育現場では、大きなクラスサイズと一斉保育が暗黙裡に前提されている傾向にある。日本の事例として、障害のある子どものインクルーシブに関する知見を、文化的・言語的ニーズへと拡張することを想定して実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インクルーシブ保育関連の論文のレビューは、論文の収集とその分析を進めることができている。この海外のインクルーシブ保育をめぐる動向のレビューと並行して、「インクルーシブ保育」に前向きな態度形成の条件解明のため、保育者へのインタビュー調査を、継続的に実施することができた。本年度は、3名の保育者に対し、約20時間にのぼるインタビューデータを収集した。その分析は現在緒に就いたばかりであるが、具体的な子どもとの関わりの経験が、インクルーシブ保育を支える信念の形成に影響する傍証といえる語りを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度前半に文献レビューを作成し、公表する(学内紀要に投稿予定)。 フィールド調査に関しては、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、調査者の受け入れが困難な園が多くなってきている。したがって、当初の計画通りに調査を遂行することが難しくなることが予見される。 その場合、①インフォーマントを増やすことを諦め、現在ラポールの取れている保育者へのインタビューを継続する(園外での調査)とともに、②郵送による質問紙調査の実施を検討する。 現状、収拾済みのインタビューデータの文字起こしと分析を当面の課題として、インフォーマントとの協議をしながら、調査をすこしずつ再開できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、想定したよりも、文献収集のコストがかからなかった。 本年度は、学会で成果発表する機会を増やす予定である。しかし、すでに5月の学会が中止となり実現の見通しが不透明ため、その場合は文献レビューを充実、フィールド調査等や関連研究者との研究会等に支出したい。
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