研究課題
本研究の目的は,理科と数学を関連付ける4つの方法(①学習内容の統合プロセス,②考え方の統合プロセス,③学習内容の比較プロセス,④考え方の比較プロセス)における授業を具体化するとともに,各授業において育成が目指される資質・能力の関係性を明らかにし,その関係性に基づいた教育プログラムを開発することである。2019年度は理科と数学を関連付ける各方法における授業を,国内外の研究や事例及びアフリカの状況を踏まえ考察した。具体的には,米国School Science and Mathematics Associationの学会誌及びSTEM教育に関する国際誌International Journal of STEM Educationを中心に先行研究の分析を行うとともに,米国にて開発されたSTEM Road Mapカリキュラムにおける14の教材を分析した。その結果,STEM授業に関する研究は,①授業そのものを分析対象としたもの,②授業を実施する上でのカリキュラムマネジメントに関するもの,③授業の効果に関するものの3側面から実施されていることが明らかとなった。また,STEM Road Mapカリキュラムの分析から,STEM教育に関する5つのテーマに焦点を当て,K-12の各段階において教材開発が進められていること,すべての授業において教科統合の度合いが高いことが必要とされているのではなく,授業の目的に応じて適切な統合の度合いを選択する必要があることが明らかとなった。これらの研究成果は数学教育学会のシンポジウムにて報告した。さらに,アフリカの状況を踏まえた考察を行うため,マラウイの現地教育省関係者及び現地教員養成大学教員と協議を進めている。
2: おおむね順調に進展している
2019年度はSTEM教育に関する先行研究や先進的な事例について,その実態や教材の特徴について考察した。当初予定していた,米国のSchool Science and Mathematicsの学会誌やSTEM教育に関する国際誌International Journal of STEM Educationの分析に加え,米国にて開発されたSTEM Road Mapカリキュラムにおける14の教材の分析を行うことができた。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の影響から,2020年3月に予定した現地調査を行うことが困難であった。そのため,現地研究協力者とオンラインを用いた協働研究を進める体制を準備している。
当初の計画では、2020年度はアフリカにおいて実態把握調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の状況によっては現地渡航が難しい可能性がある。そのため、引き続き文献調査を進め理科と数学を関連付ける授業を具体化したり、現地研究協力者に遠隔で実態把握調査を実施してもらったりすることを考えている。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)
Zambia Journal of Teacher Professional Growth (ZJTPG)
巻: 5(2) ページ: 72-92
教師教育研究
巻: 12 ページ: 45-50