研究課題/領域番号 |
19K14201
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
池田 匡史 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (60820553)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国語教育史 / 単元学習 / 主題単元 / 郷土教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、国語科教育において、これまでなされてきた「人間、社会、自然、言語、文化、自己、愛、青春など」抽象的な事柄の追究を構成原理とする「主題単元学習」論の展開とその意義を明らかにする際に、これまで十分に検討の対象とされてこなかった、①戦前の教育営為と主題単元学習の関係、②アメリカでの主題単元学習の展開、③現代的な意義、の追究を行うものである。つまり、国語科における主題単元学習の成立に至るまでの流れやその学習が持つ価値を、通時的、共時的に明らかにすることを通して、現代的な学習モデルの開発を目指す研究である。
本年度は、上記①~③の観点をそれぞれ進展させたと考えられる。まず①の観点に関して、郷土教育運動において展開されてきた郷土国語読本の編纂の実態、および、その思想が展開されようとした土地での教育営為を明らかにし、それぞれ論文として成果を発表した。特に、郷土国語読本に関しては、愛媛県の小学校で作成されたものを取り上げ、それがいかなる発想をもとに編纂されたのかを明らかにした。これは、③の観点にも関わっており、地域を重視しようとする現代的な教育営為にも活用可能なものであると考えられる。また、②の観点からも、1950年代のアメリカにおける主題単元学習論の整理と日本への影響の整理をし、アメリカの雑誌論文所収の単元学習論の中で、主題単元学習はどのような位置づけがなされていたのかを検討し、成果を、発表全国大学国語教育学会での口頭発表によって発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、初年度に、「戦後、主題単元学習の展開に至る土壌として、どのような戦前の教育営為が位置づくか?」という問いを明らかにし、二年目に「②アメリカでは、国語教育として主題単元学習をいかに展開したのか?」を明らかにし、最終年度において「③現代において主題単元学習は、どのような示唆を与えるか?」という問いを明らかにする計画であった。 ただし、研究遂行の手順に関して、それぞれの観点を同時並行的に展開することにした。このような研究遂行の順番に関する変更はあったものの、極めて順調にそれぞれの観点から成果報告等が行えていると考えている。年度末からの新型コロナウイルスの蔓延の影響に伴い、施設等の閉館、利用停止などの影響があったものの、それを踏まえてもおおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う施設閉館、外出自粛などにより、現状身動きが取れない面もあり、新たに資料収集をすること等が必要な部分を進展させることが困難である。そのため、すでに収集した資料を用いて展開できる面を着実に遂行していく。そのため、当初想定した研究遂行の手順に囚われず、研究課題を追究していくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、パソコン等電子機器、また国語教育関係の文献を多く購入する予定であったが、研究遂行にあたる手順を多少前後させたことにより、その購入を後回しにした。必要であることには変わりがないため、次年度において執行する。
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