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2020 年度 実施状況報告書

対話の相互作用モデルの構築と数学学習を深める授業デザイン原則の抽出の往還

研究課題

研究課題/領域番号 19K14204
研究機関香川大学

研究代表者

松島 充  香川大学, 教育学部, 准教授 (70804128)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード対話の相互作用モデル / 拡張した記号の専有と使用のモデル / 授業デザイン原則 / 学級文化 / 民主主義的能力
研究実績の概要

研究目的1の対話の相互作用モデルは,これまでの研究経過を加味しながら,Extended model of sign appropriation and use(Matsushima,2020)として公表した。しかしまだ自ら発話をしない子どもの学びの様相を取り入れたモデルへの修正が課題として残っている。今後の課題である。また相互作用の具体的な様相については,小学校3年「三角形」の学習の実際の様相を,commognition論を用いて解釈し,対話によって深い学びが生じていることを示した。Commgnition論と対話の相互作用モデルとの関連の分析も課題である。
研究目的2の数学学習が深まる授業デザイン原則は,コロナ禍の影響のため授業研究を1度しか行うことができなかった。そのためデータ収集,分析共にあまり進展していない。1度行った授業研究については,データ収集は完了している。データ分析については今後の課題である。
研究目的3の理論と実践の往還については,授業研究が進まなかった分,理論研究を進めた。これまでの授業研究の知見から,数学学習の深化には,学級文化の影響を考慮せずにはいられないことが明らかとなってきた。そのため,学級文化,特に学級での民主主義的能力の育成,民主主義的雰囲気の醸成についての論考を「数学教育の目的としての民主主義的能力の育成:社会政治的視点からの考察 」(松島,2020)として,日本数学教育学会秋期大会で発表した。発表時には,シチズンシップ教育の視点からの分析と国際的な主要ジャーナルのレビューの必要性が指摘された。今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

授業研究の実施とその分析による授業デザイン原則の抽出の作業が遅れている。これは,コロナ禍によって授業研究自体の実施が難しかったという状況に起因する。
本研究は理論部分,実践部分,そして両者の往還が核となった研究であるが,コロナ禍の状況のため,理論部分の研究が先行している。理論部分では当初の計画以上に,学級文化や民主主義的能力についての研究に着手することができている。

今後の研究の推進方策

本研究の1つの核である実践研究の部分については,コロナ禍の状況を見据えながら進めていく。可能ならば,2回程度の授業研究を行い,実践の分析を行う。そして,授業デザイン原則の抽出を進める。
授業デザインの抽出のための分析には、ディスコースの量的分析と質的分析を組み合わせる。量的分析には,KHコーダ等のテキストマイニングを用いる。質的分析には,数学教育におけるディスコース分析理論のcommognitionを用いる。
数学教育における民主主義的能力の育成について理論的研究を行い,日本数学教育学会秋期大会にて発表し,参加者から意見を得て研究を進める。
理論研究では,数学教育における世界の主要ジャーナルでの民主主義に関する論文をレビューし,その動向を確認する。そして,数学教育研究の現状と日本の教育現状を踏まえ,数学の深い学びと民主主義的能力の育成の関連について論じる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍にあり,出張費が使用できなくなった。そのため,学会や研究集会での対面での研究交流ができなくなり,理論研究の促進に支障が生じた。そのため,研究計画当初に予想していた以上に研究図書が必要となり,購入した。しかし,計上していた国際学会への出張費は大きく,当該年度の研究助成金すべてを使い切ることは難しかった。
翌年度分に繰り越した金額はそれほど大きくはないため,翌年度は当初の計画通り計画を進めることで,研究経費を適切に消費しながら研究を進められる予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 小学3年「三角形」における三角形の成立条件の学習に関する研究:幾何ディスコースの発達の理論の立場から2021

    • 著者名/発表者名
      松島 充,清水顕人
    • 雑誌名

      数学教育学研究

      巻: 26(2) ページ: 45-57

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Appropriation mediates between social and individual aspects of mathematics education2020

    • 著者名/発表者名
      Matsushima Mitsuru
    • 雑誌名

      MATHEMATICS TEACHING RESEARCH JOURNAL Special Issue on Philosophy of Mathematics Education

      巻: 12(2) ページ: 107-117

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 深い算数の学びを実現するためのディスコース分析:コモグニティブコンフリクトの視点から2020

    • 著者名/発表者名
      松島 充,鵜川 護
    • 雑誌名

      香川大学教育実践総合研究

      巻: 41 ページ: 35-47

    • 査読あり
  • [学会発表] 数学教育の目的としての民主主義的能力の育成:社会政治的視点からの考察2020

    • 著者名/発表者名
      松島 充
    • 学会等名
      日本数学教育学会 秋期大会
  • [学会発表] 解不定,解不能を意識した連立方程式に関する数学的活動:アリスモゴンによる授業実践2020

    • 著者名/発表者名
      松島 充,山下裕平
    • 学会等名
      日本科学教育学会 年会

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公開日: 2021-12-27  

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