研究課題
電気回路設計の能力に関して,これまでに接続に関する概念理解が基盤的に働いていることを見いだした。当該年度ではこの接続の概念理解の詳細を把握するために,中学生を対象に概念理解と配線図の作成能力との関連性について調査した。その結果,回路図に記された部品の配列や姿勢の変化が,接続に関する概念理解の程度に影響することが示唆された。そのため,回路設計学習では,部品配置・姿勢および,それぞれの内理解(「正しい」ものを「正しい」と判定する力)と外理解(「誤っている」ものを「誤っている」と判定する力)の組合せによる難易度の差異に着目した学習活動の順序性を考慮することが重要であることを見いだした。回路教材としてのハンズオン教材の開発については,これまでに開発した導電性テープを活用した回路製作教材の改良として,チップLED等の半導体部品を用いた部品シールを独自に開発することで,より自由度が高く安定動作する教材を完成させることができた。このハンズオン教材は,地域ワークショップ事業にて小学生を対象に活用することを通して,半田ごてを用いずに短時間で電子回路を構築し,なおかつ部品レイアウトを児童・生徒の発想に基づいて自由に構成できることを実証した。さらに,学校教育における電気回路学習の取扱いについて学習指導要領および検定教科書を基に網羅的に調査し,電気回路設計学習のための基盤となる知識・技術が,いつ・どのように形成されるかについて調査するとともに,電気を題材とする理科や技術科などの教科間の関連性について整理した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
福岡教育大学紀要第3分冊
巻: 71 ページ: 33-63
電気学会論文誌A(基礎・材料共通部門誌)
巻: 142,7 ページ: (2022.7刊行予定)