本研究は、単元計画と実際の展開との差異に着目し、教師自ら開発した単元の意味や特徴、学習者の意表やこだわり、教師が提示した学習内容とのズレを捉えて単元の展開に生かそうとする実践上の意思決定の姿を明らかにすることを目的とした。この研究目的に対して以下の成果を得た。 (1) D-OODAサイクルモデルの検討と教師の単元展開に総合的に働く諸能力の析出及び「単元の様相―解釈」の枠組みの提示を行ったこと。 (2) 研究協力者の実践に基づいて「単元の様相―解釈」を行うための資料を示したこと。 (3) (2)の資料をもとにした教師の単元展開におけるD-OODAサイクルに関わる考察と検討を行い、教師の実践的思考の一端を明らかにしたこと。 (1) D-OODAサイクルモデルに関して,特にD=学習デザインが、その後の00DAに与える影響を明らかにした。次に,「単元の様相―解釈」の枠組みに関して,単元の構造的全体像を,【単元の流れ:計画と実際】【子供の主な言動】【教師の主な働きかけ】の観点に基づいて図化(=様相図)し,単元が生成・発展していく関係性の分析・検討(解釈)の枠組みとしてさらに改善した。(2) に関しては,研究協力者が実践を行い、「単元の様相―解釈」のための資料(様相図)を作成した。三年目はさらに精緻化した様相図として示すことができた。(3) に関しては,研究協力者と共に授業実践に対して「単元の様相―解釈」を行ったことが,その後の教師の単元展開の改善や授業改善の寄与していたことが明らかになった。またActionResearchのとして、大学教員の教育現場の教師に対するアドバイスや示唆について、特に学習者の特性と学習内容の関連性を客観的に捉えて、アドバイスしていく要諦について明らかにした。
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