研究課題/領域番号 |
19K14209
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研究機関 | 仙台白百合女子大学 |
研究代表者 |
呂 光暁 仙台白百合女子大学, 人間学部, 講師 (10817604)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心理志向の経済教育 / 素朴理論 |
研究実績の概要 |
新しい学習指導要領が2020年より全面実施されることを受けて、経済に関する素朴理論を科学的理論を発展させるための実験授業の開発に先立って、実験授業の出発点となる新しい学習指導要領に基づく経済教育のカリキュラの特徴を調査研究によって明らかにした。 まず、小学校段階では、新学習指導要領において経済に関する学習内容(経済の仕組み・システム、経済的概念、経済的合理性)の増加が確認されたが、教授学習方法に関する内容は依然として不足しているという新学習指導要領に内在した課題を確認した。その上で、今後は、経済的仕組み・システムに関する基本的な理解を主体的な学習活動を通して、子どもに獲得させながら、経済生活を営む上で必要とされる経済的思考力を形成させるために、実際の経済活動に対する実体験や擬似体験を通して、各経済主体のもつ経済的合理性を子どもに理解させることを、小学校における経済教育の実験授業の方向性として位置付けた。この取り組みから得られた成果を大学の紀要論文として刊行することができた。 次に、上記の学習指導要領における経済カリキュラムの特徴及び経済教育の課題を踏まえて、本研究で開発する経済教育論を、これまでの「生活志向の経済教育論」と「学問志向の経済教育論」との相違を図りながら、「心理志向の経済教育論」として位置付けた。その上に、教育原理と経済原論に基づいた心理志向の経済教育論の理論的構築を行った。この取り組みによって得られた研究成果を大学の紀要論文として刊行することができた。 最後に、2019年度末に予定していた中学校と高校段階における調査研究については、小学生の素朴理論の特徴を踏まえて、中学生と高校生を対象に行う調査問題の作成と中学校と高校のサンプル校の選定を行った。各サンプル校から研究に協力をいただく承諾が得られた。これによって、調査研究の準備作業を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査研究に協力していただくサンプル校との調整は、予定より時間がかかった。それに加えて、コロナウイルスの影響によって、各学校の授業日程が大幅に変更したため、協力の承諾が得られたが、調査を実施する日程まで確定することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度では、まず、中学校と高校段階の新学習指導要領に基づく経済教育カリキュラムの特徴を分析調査によって明らかにする。次に、中学校と高校における経済教育カリキュラムの分析とともに、経済に関する児童生徒の素朴理論に関する調査を行いながら、調査活動と連動して素朴理論を科学的理論へと発展させる実験授業を計画・実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に行う聞き取り調査や質問紙調査の資料を印刷する印刷費が一部残った。引き続き2020年度の調査活動に使用することにした。
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