研究課題/領域番号 |
19K14213
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
雲財 寛 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 助教 (00806838)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 理科 / 認知欲求 / 知的謙遜 / 「理論」の構築過程に基づく学習指導 |
研究実績の概要 |
本研究では非認知能力を理科の文脈で捉え直し,理科における非認知能力を育成するための学習指導法を考案することが目的であった。そして、二年次では,下位要素として考えられる構成概念を整理するとともに,指導法を実施し,その効果を検証することを目的とした。 まず,理科における非認知能力の1つとして考えられる「認知欲求」については,開発した尺度をもとに,小学生と中学生の実態をより詳細に解明することができた。さらに,「理論」の構築過程に基づく学習指導が,理科における認知欲求の育成に有効かどうかを検証した。 「理論」の構築過程に基づく学習指導とは,以下のような学習指導である。まず,ある事象に対して説明可能な仮説を発想させる。そして,その発想された仮説に対し,様々な実験を行っていく中で各事象を一貫して説明しやすいか,反証されていないかといった観点から,仮説を棄却させたり,修正させたりする。また,その過程で複数の仮説が発想された場合は,同様に各現象を一貫して説明しやすいかといった観点からより妥当な仮説を選択させていくという学習を展開する。このような「理論」の構築過程に基づく学習指導を実施した結果,この学習指導は理科における認知欲求の育成に有効であることが明らかになった。 このほか,理科における非認知能力との関連を見出した「知的謙遜」については,その構成概念を整理し,質問項目の検討を行った。その結果,「自分の意見よりも友達の意見の方が正しいと思ったら,意見を変えることができる」,「予想と違う実験結果になったら,自分の仮説を疑うことができる」などの質問項目を作成することができた。 最後に,理科教育における非認知能力の最新の動向を把握するために,理科教育の関連学会に参加し,情報収集を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年次では,理科における非認知能力の1つである「認知欲求」については,学習指導法を考案することができ,一定の成果を達成することができた。しかし,「知的謙遜」の質問項目の作成については,十分に進んでいないため,この点については課題が残っていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き,理科における非認知能力の構成概念を整理する。また,理科の文脈における「知的謙遜」を測定する質問項目を作成し,「知的謙遜」を測定する尺度の開発を行う予定である。しかし,新型コロナウイルスの感染状況によっては,調査を実施することが困難な可能性がある。調査を実施できない場合,インターネットで公開されている利用可能なデータをもとに二次分析を実施し,理科における非認知能力に関する実態を解明する予定である。
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