本研究は、行動科学に基づいた児童生徒向け睡眠教育プログラムの開発・普及を目的とする。3年間の研究を通して、睡眠教育プログラムの開発・効果検証・公開、評価に用いる尺度の計算ソフト開発・公開を行った。 ①[睡眠教育の現状と課題の検討:R1~2年度]睡眠教育の現状と課題を明らかにするため、睡眠教育の文献レビューおよび睡眠教育に関するインタビュー調査を実施した。文献レビューの結果、行動変容を促す理論・モデルに基づいた睡眠教育プログラムの開発などが課題と考えられた。本結果を論文として発表した。5小学校、1中学校の養護教諭を対象にインタビューを行った結果、睡眠教育の成功例や困難感に関するカテゴリーが抽出され、睡眠教育の現状と課題が明らかになった。現在、本結果を論文としてまとめている。 ②[睡眠教育プログラム(原案)の作成・効果検証:R1~R2年度]睡眠教育プログラム(原案)を作成し、2小学校児童346名、1中学校生徒279名を対象に授業効果を検証した結果、授業前後で、変容ステージの改善や意思決定バランス得点の増加がみられた。一方、対象者全体の睡眠習慣や自己効力感得点に変化は認められなかった。本結果を博士学位論文の一部としてまとめた。 ③[評価に用いる尺度の計算ソフト開発:R2~R3年度]睡眠教育の評価に用いる早寝早起きの自己効力感尺度・変容ステージ尺度・意思決定バランス尺度を開発し、各尺度の信頼性・妥当性・関係性を確認した結果を4報の論文として発表した。また、尺度の計算ソフトをエクセルベースで開発した。 ④[睡眠教育プログラムの完成:R3年度]①・②の結果を基に睡眠教育プログラムを改善した。 ⑤[研究成果物公開:R3年度]成果物公開用ホームページを作成し、睡眠教育プログラムおよび開発した尺度の計算ソフトを公開した(http://lifestyle-oso.jellybean.jp/tool/)。
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