最終年度は、教師の評価力の向上につながる研究として、学習者の到達状況を把握するためのルーブリックや学習意欲を測定するためのアンケートを活用した実践研究を行った。また、授業改善としては、学習者中心の主体的な学習が展開できるよう日常生活や社会の事象に関わる探究的な学びのプロセスを取り入れた算数・数学科の実践研究を行った。 本研究課題におけるこれまでの研究としては、ペーパーテストの可能性と限界についての学習評価の基礎的研究や、生徒の学習状況を的確に捉えるためのパフォーマンス課題の作成に関わる課題の考察がある。 開発途上国の授業改善を図るための研修プログラムについては、これまで共同研究者として研究を進めてきた国費教員研修留学生の研修成果に着目し、考察してきた。1年間に渡る附属小学校の授業観察を通して、どのように日本の小学校の算数教育を捉えたのかを本学の研究紀要に投稿した成果論文を分析することによって明らかにしたものである。そこでは、よそ者論を理論的背景とし、我が国の算数教育の関心の高い内容として、問題解決の授業過程やその指導法、教科教育を発展させる上での授業研究の良さなど、これまでの研究でも述べられていたことが、共通認識として確認されいる。さらに、研修を通してどのように算数・数学科における学習観を変容させたのかを明らかにし、国際教育協力の視座から今後の研修プログラムのあり方を考察した。本研修プログラムの成果については、留学生の質問紙の配点の変化や根拠となる記述を提示することで、算数・数学の学習観の変容を明らかにすることができた。
|