研究課題/領域番号 |
19K14227
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
吉崎 聡子 弘前大学, 教育学部, 助教 (00361006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 特別活動 / 学級活動 / 観察 |
研究実績の概要 |
本研究は,「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」を重要な視点として行われる小中学校における特別活動の中でも,特に学級活動を研究対象とし,学級「集団」による学級活動が児童生徒「個人」の基本的心理欲求を充足させ,それが児童生徒「個人」の更なる学級活動への積極的参加につながり,さらに「個人」の学級適応や,人間関係形成,社会参画につながるという往還的なモデルを,実際の学級活動の観察や質問紙によって検証することを目的としている。またここで述べる基本的心理欲求とは,Deci&Ryan(2003)が提唱する,人間が普遍的に持つ3つの基本的心理欲求(自律性・コンピテンス・関係性)を指し,学校においてこの3つの欲求が満たされるならば,学校と子どもたちの間に絆が作られ,子どもたちが学校の価値を受け入れられるようになると述べる。 2019年度はまず小学校を対象として,小学5年の1学級について,活動の観察と質問紙調査によって,当該学級「集団」の現状の把握と,気になる児童生徒「個人」を特定し,その上で学級観察と二度目の質問紙調査を行うこととした。学級活動の観察より,当該学級「集団」は,話合い活動を活発に行うことができ,また互いの意見を否定せずに聞くことができる学級「集団」であり,お互いを尊等し合う学級風土が形成されている様子が見られた。しかし,一部の児童を対象として,他の児童が言外の排斥を行っている雰囲気も見られ,学級に属する全ての「個人」が基本的心理欲求が充足されている状況ではないと推測された。そこで質問紙を通しての観察事実の検証を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度頭に所属変更となり,研究計画時に想定していなかった業務を担う必要が生じ研究環境の整備に多くの時間が必要となった。また研究に協力いただいた学級の都合や行事日程等の調整がつかず,観察実施が2019年度の3学期となった。さらに,新型コロナウィルス感染症対応のため学校が3月初旬より休校となり,2回目の観察及び質問紙調査の実施が困難となった。 複数回の観察及び質問紙調査を実施できなかったこと,さらにデータ不足により研究成果をまとめることができなかったため,現在までの達成度は(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症対応のため,現在も休校措置が続いており,学校再開後に学級活動の観察調査と質問紙調査を実施する予定である。また,学校を訪問しての観察調査の実施が難しい場合は,動画撮影を学校へ依頼するなどの方法を協力いただく学校・学級と相談の上検討する。これらが一切不可能な場合は,当初使用を予定していた質問紙の内容を個人の状態だけではなく,学級の様相を捉える項目も加えて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は新型コロナウィルス感染症流行のため,観察調査・質問紙調査を実施できず,そのため調査及び分析に係る人件費・謝金の使用がなかったことより,次年度使用額が生じた。今年度は引き続き新型コロナウィルス感染症流行中のため状況に応じ,観察調査・質問紙調査を行い,そのための経費として使用する。
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