研究課題/領域番号 |
19K14232
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
多賀 秀紀 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (10824831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 創作学習 / 評価 / 質的研究 / インタビュー |
研究実績の概要 |
3年目にあたる2021年度は,創作された作品から学習者の創作意図を読み取る視点の提示に向けた理論構築,及び作曲家へのインタビューの実施を基軸として研究を進めた。 第1に,作曲家へのインタビューは2名を対象者として実施することができた。現在,作成したトランスクリプトをもとにSCAT(Steps for Cording and Theorization)を用いた分析の途上にある。 第2に,上記インタビューの分析段階において,創作学習における「作品」の概念について検討しておく必要性が浮かび上がってきた。理論化が待たれる段階にあるが,インタビュイーである作曲家とのやりとりにおいて,残される作品と必ずしもそのことが前提となっていない作品とでは,「聴き方」「評価の仕方」が異なる可能性が見えてきている。日本の音楽科教育においても1980年代の創造的音楽学習(CMM)以降,必ずしも記録として残されることが意図されない音楽が授業において創作されることが増えてきた。こうした状況も踏まえ,本研究で扱う「作品」の概念を再定義することも含めた整理が必要であろう。 第3に,創作学習における問題点について,日本における学習評価を基軸として整理し本研究における問題意識として再整理することを試みた。これについては,論文として執筆し2022年度下半期の公表および刊行を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れていたインタビューを実施することができ,トランスクリプトに基づいた分析に着手することができた。一方で,理論化には今少し時間が必要である。また,昨年度に予定していたルーブリックの検証もCovid-19の影響により実施できていない。以上の理由から事業期間を1年延長し2022年度末までとする予定である。 こうした状況から,「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューのトランスクリプトは,SCAT(Steps for Cording and Theorization)を用いた分析の途上にある。今後,適切な分析枠組みを設定した上で,学会等における研究発表および論文化を目指す。 また,本研究で扱う「作品」の概念を再定義する必要性について,インタビューの結果から得られると見込まれる。こちらについては,音楽学的検討が必要になると考えられることから,引き続き関連する文献や先行研究等の収集につとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究遂行に遅れが生じており,研究期間を1年間延長したため。
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