研究課題/領域番号 |
19K14235
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
川原崎 知洋 静岡大学, 教育学部, 准教授 (10512535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共創空間プログラム / 造形プログラム / 非認知的能力 / デザイン教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知的発達段階及び幼小接続の視点から、共創空間プログラムの開発・実施を通して、数値化されにくいとされる非認知的能力を美術科教育における評価手法を援用して解析し、非認知的能力も含めた総合的能力開発の系統化と実装化を目指すことにある。 2022年度の研究成果として、幼児期の子どもを対象とした造形イベント「グランシップこどものくに2022 くねくねびよーん」(場所:グランシップ静岡、日時:5月2日(月)ー5日(木))に企画監修者として携わった。 子どもたちが空間を共有し、自由に創造することができる環境(共創空間)を整備することで、子どもたちの想像力や発想力、非認知的能力を伸長させることを目的としている。「線」というテーマの中で様々な共創空間と造形プログラムを考案した。①イベントの導入空間では、ブルーライトを仕込んだ部屋に、100本以上の「線」が浮遊しているような不思議な視覚体験を提供する共創空間「ゆらゆらゆれる線」、②ブラックライトを仕込んだ暗闇の共創空間の中で、パターンボードに光る輪ゴムを自由に造形することができる共創空間「夜空に星座を描こう」、③巨大な集中線を背景に、家族でそのシーンを想像しポーズを考えて写真撮影する体験型フォトスポット「集中線の空間」を企画開発した。 本実践の成果は、①「子どもを対象とした共創空間のデザイン -グランシップこどものくに「くねくねびよーん」の実践を通して-」(静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要No.33、pp.222-229)と、②「こどものくに くねくねびよーんproject グランシップこどものくに2022」(De+sign atelier vol.10、pp.25-26)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、共創空間における子どもの活動が非認知的能力の向上と相関関係にある可能性について実証実験を通して明らかにした。しかし、子どもの非認知的能力の具体的な可視化の方法については未だ模索している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も美術科教育の評価手法などを手掛かりにしながら、非認知的能力の可視化や測定方法について研究を推進し、共創空間における子どもの活動と非認知的能力の向上との相関関係について明らかにする。 なお、非認知的能力の可視化や測定方法について具体的な提示が困難だった場合、これまで実践研究を重ねてきたさまざまな共創空間について、子どもに提供できる「体験価値」に着目することで系統化するとともに、共創空間のデザインプロセスを整理することで汎用化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響と家庭の事情により、当初予定していた国内外(特に海外)の共創空間の視察調査が予定通り推進できなかったことが大きな要因となっている。 ①国内での共創空間の視察調査を推進させ、②子どもの共創的な活動を生み出す玩具や遊具に関する先行事例の調査と、③共創空間を制作するための材料費、環境整備費として使用する予定である。
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