研究課題/領域番号 |
19K14239
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川口 広美 (前田) 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80710839)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 論争問題学習 / 教師教育 / 自己検閲 / 教師志望学生 / 社会科教育 / 教員養成 / 市民性教育 |
研究実績の概要 |
本研究は,日本の中等学校の社会科教師(①現職教師と②教師志望学生)の論争問題学習の捉え方を把握することを目的とする。その際,(1)教師たちがどのように論争問題学習を捉えているのか,(2)なぜそのように捉えているのか,について,「政治的中立性」の捉え方や教師を取り巻く環境・文脈から明らかにする。
2020年度は主に次の3点を行った。 第1は、2019年度に行った日本の社会科教育における論争問題学習のレビュー論文を出版した。本論文では、政策的に「論争問題学習」の実施が困難であった日本において、社会科の本質を検討する際の現状のオルタナティブを提示するものとして用いられていた。それが政策の転換に伴い、メインストリームとなり得るようになった。それに伴い、研究も海外動向把握としての研究から、日本での適用が想定される流れに転換している。さらに「論争問題学習」自体の性質も変更している。今後の論争問題学習研究の課題として、当事者として子どもがかかわるための論争問題学習の在り方や、論争問題学習を通して子どもがどのように変容したか、関わったかについても検討する必要がある。 第2は、教員養成課程の学生及び現職教師を調査するための質問紙の完成である。初年度に行った学生調査の動向や先行する調査を踏まえ、質問紙を作成し、パイロット調査を行い、完成させた。 第3は、トピックを絞った現職教員に対する質的調査の実施である。2019年度以降、論争問題としてどの問題を扱うかが教員の意思決定や実践に影響を与えることが明らかになった。そのため、2020年度は主に同性婚を扱った教員に焦点をあて、実践の具体とその意思決定や背景について包括的に検討する質的調査を進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった、1.論争問題学習のレビュー論文の出版、2.2019年度に行った教師志望学生への調査分析を進める、3.2021年度に向けて、現職教員のための調査フレームを構築するがすべて行えたため。当初、国際学会での発表を予定していたがそれが中止になったため、国際雑誌への論文化を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は次の3点を行う。 1.2020年度に実施した調査の論文投稿 2.現職教員、教員志望学生への質問紙調査の実施と分析 3.2を踏まえての学会発表と論文投稿準備
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表を予定し、その渡航費に予定していた費用を利用しなかった。国際雑誌への投稿及び追加調査に使用する予定。
|
備考 |
広島大学教育ヴィジョン研究センター第48回定例オンラインセミナー「ポスト・コロナの学校教育(3)COVID-19をどのように教材化するか?」において、研究成果の1部を発表した。
|