研究課題/領域番号 |
19K14240
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
大林 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (40707220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会的有効性意識 / サービス・ラーニング / 学校経営 |
研究実績の概要 |
2021年度には、質問紙調査と訪問調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、これらの調査を実施することができなかった。そのため、2021年度には、2020年度に現職の大学院生と共に実施した、サービス・ラーニングによる生徒の社会的有効性意識の向上に関する実践研究の成果を論文にした。また、2020年度に実施した調査のデータ分析を行った。 現職の大学院生と共に実施した実践研究では、中学校教員でもある大学院生が、6名の生徒会役員に対して、約1年間、防災をテーマにしたサービス・ラーニングを内容とする特別活動の授業を実施した。その結果、中学校において教師が生徒による変革を目的としたサービス・ラーニングを促すことが、その生徒の社会的有効性意識の向上に影響を与えることが明らかになった。 2020年度に実施した調査のデータ分析では、年度初めのC中学校の2年生と3年生の生徒の社会的有効性意識は、年度おわりのそれに比べて高いことが明らかになった。これらは、主にC中学校における総合的な学習の時間での学習活動によるものと考えられた。 総合的な学習の時間では、例えば、2年生が防災のボランティア活動や、県天然記念物の保護活動を実施したりしていた。3年生は、地域の産業を活性化する行政の戦略や、その活性化に取り組んでいる起業家の取り組みを学習していた。 また、C中学校の校長の学校経営が、これらの学習活動を可能にしていた。例えば、校長は、C中学校のグランドデザインの中で、社会と共有する教育理念の1つとして「地元を元気にできる人」を挙げていた。また、そうした生徒を育成するための各学年の総合的な学習の時間のポンチ絵を自ら描いて、各学年に渡していた。また、県天然記念物の保護活動を実施するための外部資金を得ていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の主な目標は、A市内の複数の中学校において、年度のはじめとおわりに、全生徒に対して「社会参加志向」尺度による質問紙調査を実施することであった。 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、これらの調査を実施することができなかった。ただし、2020年度に得ることができたデータを分析した結果、これらのデータにより、児童生徒の社会参加志向を高めるための地域づくり学習を可能にするための教育活動や学校経営の要因に迫ることができるように思われた。 また、研究開始時には予定していなかったが、2020年度に、サービス・ラーニングによる生徒の社会的有効性意識の向上に関する実践研究を、現職教員の大学院生と共に実施して、論文にすることができた。 これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、次の2点を目標とする。 第一に、2020年度に得たデータの分析を進めて、論文を投稿することを目標とする。 第二に、2021年度に現職の大学院生と共に実施した生徒の社会的有効性意識の向上に関する実践研究の結果についても、論文にすることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、主に、新型コロナウイルス感染症の影響により、調査対象校への訪問調査や質問紙調査ができなかったことが挙げられる。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、主に、訪問調査の旅費、聞き取り内容のテープおこし費用、質問紙調査の発送、回収、集計費用にあてる計画である。
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