研究実績の概要 |
本研究は児童の創造的表現を促進する鑑賞教育プログラムを開発することを目的としていた。2019年度には児童の鑑賞による触発がどのような作品によって引き起こされるかをオンライン調査で検討した(Ishiguro, 2021)。 2020-2021年度には、児童の創造的表現を促進する鑑賞方法を、アートエデュケーターとともに開発した。コロナ禍の中で対面で児童への教育実践をすることが難しくなったため、オンラインでのワークショップを開発した。その上で複数の実践研究の中でその鑑賞方法が参加者の創造的触発を促進するかを検討した(石黒・夏川・岡田, 2022)。 2022年度は、2年目に開発した鑑賞方法を発展させた鑑賞教育実践をオンラインで行った。鑑賞から表現を触発する教育実践の方法から実践を理解する視座や調査・効果測定の方法を書籍にまとめた(石黒・横地・岡田, 2023)。この書籍は子どもから大人までインフォーマルな場面で鑑賞と表現をつなぐ教育実践の理論と実践デザインを説明し、具体的な事例を13個あげている。 2023年度はこれまでに積み上げた研究知見や教育実践方法をもとに、児童や保護者への鑑賞と創造の教育実践をオンラインで6回にわたって開催した。オンラインのコミュニティの中で参加者募集したこと、児童向けに少人数での実践を行ったため、各実践のバリエーションを増やすことに注力した。これらの実践に関する活動デザインの意図や活動手続き、また参加者の反応を質的に記述する報告をウェブに資料として掲載した。こうした実践事例の報告は鑑賞と表現・創造を触発する指導案として、学校内外での創造的な学びの場に資する情報になる。なお、2021年から2023年までに美術教育の意義を検証する縦断研究にも取り組み、過去のデータから美術や音楽での部活動の効果を示した(Ishiguro et al., 2023)。
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