研究課題/領域番号 |
19K14249
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
塩澤 友樹 椙山女学園大学, 教育学部, 講師 (50813812)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統計教育 / 数学教育 / 標本調査 / 統計的推論力 / 変動性 / SOLO Taxonomy / 実態調査 |
研究実績の概要 |
本研究では,データサイエンス時代に向けて,標本データに基づく統計的推論力を捉える枠組みを構築しその実態について明らかにすることで,日本の算数・数学カリキュラムにおける標本データに基づく統計的推論の位置づけについて検証し,その力を伸長するための方策を得ることを目的としている。 本年度は,まず,精緻化した調査枠組みに基づき,調査問題を開発・計画を立案した。新型コロナウィルスの流行に伴い,調査の実施が難しい状況であったため,調査対象を中学1年生から高校2年生及び大学生とした。そして,中学1年生から高校2年生については,公立中学校8校,私立高等学校1校及び公立高等学校7校(中高一貫校の後期課程を含む)の協力を得て,変動性の観点を取り入れながら,標本データに基づく統計的推論の実態について調査した。大学生については,国立大学及び私立大学で算数・数学教員を志望する学生の協力を得て,推測統計学に関わる内容を含む統計的推論の実態について調査した。また,調査と並行して,SOLO Taxonomyに関わる先行研究について整理し,標本データに基づく統計的推論力を捉える分析枠組みの精緻化に取組んだ。その成果は日本科学教育学会研究会で口頭発表した。本年度の後半は,作成した回答類型に基づき,調査データの集計に取組んだ。 一方,共同研究として,標本データに基づく二次元表の問題解決の様相について,インタビュー調査を実施した。調査は大学生を対象に実施し,二次元表の読み取り以前に調査課題の文脈における標本サイズの影響を受けるなど,標本データに基づく推論に関する新たな知見を得ることができた。その成果は論文としてまとめ,学会誌に投稿することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では,令和2年度に本調査を実施する予定であったが,新型コロナウィルスの流行に伴い,令和3年度に本調査を実施した。また,具体的な調査の実施に際しても,緊急事態宣言の延長等により調査時期を変更する必要があり,調査の実施が本年度の後半になった。さらに調査の集計作業についても,感染対策を行いながら作業に取り組まざる得ず,時間を要した。以上のことから,本年度はデータの分析作業までは取り組むことができず,中高生調査及び大学生調査のそれぞれの結果を集計する作業に留まってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は当初の研究計画であった4年間の計画の4年次にあたる。令和4年度の前半は,集計データについてカイ二乗検定及び多重比較を用いて量的に分析するとともに,SOLO Taxonomyに着目して構築した枠組みに基づき質的に分析する。次に,中高生調査及び大学生調査のそれぞれ結果を踏まえ,標本データに基づく統計的推論力の実態について明らかにする。そして,これらの成果と課題を踏まえ,日本の算数・数学カリキュラムにおける標本データに基づく統計的推論の位置づけについて検証し,その力を伸長するための方策を得る。後半はその成果を論文としてまとめ,学会誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行に伴い昨年度に引き続き,学会や研究会がオンライン開催に変更となった。また調査協力校への学校訪問も中止になり,遠方への旅費の支出がなかった。それらは次年度に取組むデータ分析作業及び学会発表に関わる諸経費として使用する予定である。
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