研究課題/領域番号 |
19K14252
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
藤永 史尚 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60781060)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 音読 / 黙読 / 読解 / 外国語(英語) |
研究実績の概要 |
2020年度は日本人英語学習者の音読時と黙読時の理解度についてデータを収集・比較・分析するための準備を行った。また、音読時の内容理解に影響を与えうる要因として「読む文章」や「内容理解を測る課題」に焦点を当てて、これまで行われた音読と黙読の比較研究ではどのような手法が用いられてきたかについて、文献・資料の調査をした。先行研究からは、以下のことが明らかになった。
(a)内容理解を測る課題は大きくは2つのタイプに分けられ、「文章の情報に関するもの」と「文章で使われた言葉に関するもの」があった。前者には、第一言語による筆記再生テスト、Q&A(選択回答式または自由回答式)の形式が用いられていた。後者については、読んだ文章を使った空所補充の形式であった。これらの課題は、文章を一通り読んだ後に行われ、課題を行う際には文章を見ることはできなかった。どちらかといえば、書かれていることの理解に加えて、それを記憶(保持)できているかどうかまでを求める課題となっていたと考えられる。
(b)音読させる文章には、物語文と説明文の両方が用いられていた。長さについては、日本人英語学習者を対象とした研究ではおよそ60-240語程度であった。しかし、このようなテクストタイプや文章の長さは、内容理解に与える要因として特に考慮されているわけではなかった。また、難易度については、研究参加者の熟達度に対応すると推定される文章が選ばれているようであったが、読み手にとっての実際の難易度(「難しかった」のか「容易だった」のかなど)は必ずしも明確ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で施設等の利用に制約があり、研究協力者の募集やデータ収集を当初予定したペースで進めることができなかった。そのため、進捗状況については「遅れている」との判断である。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力(特に対面による実験への協力)を十分に得る見通しを立てることが容易ではない状況が続いているが、データ収集方法・計画の見直しを行いながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
取得を予定していた資料を年度内に入手できなかったため未使用が発生した。また、発表を予定していた学会が中止となり、そのための旅費等の支出も生じなかった。以上のことより、次年度使用額が生じている。
次年度使用額については、主に入手できていない分の資料収集のための物品費、学会発表の諸経費、英語論文原稿の校閲の人件費などに充てる予定である。
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