研究課題/領域番号 |
19K14254
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
佐藤 絵里子 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 講師 (60828721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 造形遊び / 評価 / 評価モデル / 語彙 / 目標設定 |
研究実績の概要 |
2021年度に実施した研究の成果について、交付申請書に記した「研究の目的」および「研究実施計画」に則り、記述する。 「研究の目的」は、理論的研究の成果を反映させた新たな評価モデルの仮説を生成し、付随する評価ツールの信頼性・妥当性・実行可能性を検証することであった。2021年度は上記アおよびイの視点から、美術科教育学会東京大会にて「質問紙調査に基づく図画工作科の『造形遊び』における目標設定・評価のための語彙に関する研究」と題する研究発表を行った。研究発表では、「造形遊び」を齟齬なく定義づけられ、実体化された単一の概念として捉えるのではなく、多くの矛盾を孕んだ多声的な現実として捉えることや、中心と周縁の区別を設けずに、異なる文化やコミュニティに属する人々の声を対等に尊重するように努めること、対立が決定的な断絶とならずに、新たな対話のきっかけとして歓迎される磁場を形成することに触れ、コミュニティ形成の問題として論じた。 「研究実施計画」については、コロナ禍や「造形遊び」の実践者の少なさを理由として、既に前年度の段階で研究計画の変更を行なっていた。2021年度は、全国の小学校教師を対象とした質問紙調査の背景、目的、方法に関する検討を行ったが、学会発表等を通して更なる検討が必要であるとの認識に至った。そのため、2022年度は当初予定していた学会のリサーチ・フォーラムの実現に優先的に取り組むこととし、全国調査については、今年度申請予定の新規課題の研究計画に含めることとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に前年度の段階で、コロナ禍や「造形遊び」の実践者の少なさを理由として、対面で小学校の授業データやインタビュー・データを多数収集する方法を断念し、代替的な方法を模索していた。その一方、「造形遊び」の評価モデルを提案するという研究の目的自体は、文献調査やテキストマイニング分析を通して実施することができ、それに基づく教育評価に関する実践的研究も形にすることができた。さらに、「造形遊び」の成立に携わった西野範夫の思想を手がかりとして、評価モデルのような教育的価値の構造をつくることの是非について、理論的に検討することができた。2021年度には、代替的な研究方法としての、質問紙に基づく全国調査の可能性について考察することができた。その結果、スケジュールや予算の都合から、最終年度である2022年度には、当初予定していた学会のリサーチ・フォーラムの内容を充実させることとし、これから申請する新規課題の計画に全国調査を含めることが妥当であると判断した。そのため、対局的に捉えれば、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に検討した、質問紙に基づく全国調査については、スケジュールや予算の都合を考え合わせ、2022年度に申請予定の新規課題の計画に含めることとする。その際、当該調査の背景、目的、方法については、「造形遊び」を通して育成する資質・能力と「遊戯」、「美」、「意味生成」との関連を背景としつつ、「公共性」の問題を前景化させる。本研究課題の最終年度である2022年度には、当初予定していた学会のリサーチ・フォーラムの内容を充実させることとし、「金子・柴田論争」や京都学派の教育学等を参照した包括的な議論の場を形成し、シラーの遊戯論を手がかりとして「造形遊び」の新しい解釈の提示を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍や「造形遊び」の実践者の少なさを理由として、対面での授業データやインタビュー・データの収集を断念し、代替的な方法を模索したため。
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