本研究では、日本の文化財保存修復の教育における理論と実践のギャップを埋める新しいアプローチの開発を目指した。日本の大学の授業科目をICOM-CCの倫理規程6項目に分類し、現状の授業体系をまとめた。次に、保存修復を学べる海外の大学を主な例に、海外の大学教育のプログラムや実践への取り組みを比較検討した。日本の教育は芸術と文明の歴史、保存修復の歴史と技術の授業が諸外国より少ないことが判明した。 以上の問題点を踏まえ、本研究では、文化財を歴史的・社会的文脈の中でより理解していくことが重要と論じていく。これらの理論は、日本の修復技術と倫理を補完し、より質の高い修復を行うための基盤となると考えている。
|