研究課題/領域番号 |
19K14268
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
戸村 理 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00758576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大学学長職 / 全国大学教授連合 |
研究実績の概要 |
研究計画3年目は、前年度の「今後の研究の推進方策」にて示した3項目の実施を目指した。 第1は基礎的な資料収集である。これは前年度新型コロナウイルス感染症への対応により十分に実施できなかったことを受けて、3年目も引き続き行うこととした。第2は近現代日本における私立大学学長職データベースの作成である。第3はそのデータベースの分析により、近現代日本における私立大学学長職の総合的な検討を行うことである。 第1の基礎的な資料収集については、同感染症の影響により、今年度も想定していたように進めることは困難であった。しかしながら戦後初期の日本で誕生した「全国大学教授連合」に関する基礎資料は、管見の限り、現存する資料の多くを入手することができた。具体的には機関誌『会報』の他、支部会での各種資料について、京都大学や東北大学の大学文書館(アーカイブス)を訪問し、入手することができた。全国大学教授連合は、国立・公立・私立といった設置形態の枠組みを超えた設立された各大学の学長及び大学教授の連合組織であり、本研究課題について制度的観点から考察するには有益な資料となることが想定される。 第2の私立大学学長職データベースについては、作成途中である。とくに戦後大学に昇格した私立大学については、いくつかの大学において正確な情報を入手できておらず引き続き検討が必要である。 第3のデータベースを用いての分析については、上述の理由から分析に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による移動制限は、本研究の進捗上不可欠である資料収集の点においてマイナスに作用し、本研究課題の円滑な進捗に小さくない影響を与えたのが実情である。加えて所属大学にて施設設備の関係から研究室引越し等が生じたこと、また地震による書架の整理など、当初予期していなかった事態となったことも現在までの進捗状況に影響を与えたのが実情である。研究計画の最終年度である次年度は、今年度の教訓を活かし、効果的かつ効率的な活動に努める所存である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度である令和4年度については、以下のような推進方策を検討している。 第1は基礎的な資料収集の継続である。本研究課題は新型コロナウイルス感染症により、その最も重要な作業である資料収集が計画通りに進んでいない。これについては次年度も事態が劇的に好転することは想定しにくいが、感染状況が落ち着く状況を見計らって、効果的・効率的に実施したいと考える。 第2は私立大学学長職データベースの完成及びその分析である。早々にデータベースを完成され、丁寧な分析を行いたいと考える。基礎的な分析であっても、これまでにない知見を生み出すことが可能であると考える。 第3は全国大学教授連合に関する分析である。これは今年度入手した資料群の分析である。全国大学教授連合は戦後、米国のAAUPを一つの模範に、南原繁等が先導する形で創設された組織である。学問の自由や大学の自治、また大学財務や大学教員給与など現代的観点からもクリティカルな部分について考察するに最良の歴史的事例である。こちらについても私立大学学長職データベース同様に基礎的な分析となるが、それに努めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属大学の異動および新型コロナウイルスの影響により、研究時間が減少するとともに、移動制限を強いられた。それにより各大学アーカイブスや大学関連団体、国会図書館といった本研究の遂行に必要な史資料を多く有するこれらの機関へ訪れることが困難となった。そのため当初の予算計画(旅費およびデータ整理や入力等の人件費)の執行が困難となり、次年度使用額が生じた。
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