研究課題/領域番号 |
19K14269
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
大上 真礼 金沢学院大学, 文学部, 講師 (90807132)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大学院生 / 大学院進学 / 若手研究者 / 学術論文 / 査読 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,大学院生の心理的特徴を探り,世間一般からの大学院生や(若手)研究者についてのイメージとの比較を行うことである。また,彼らのメンタルヘルスや研究モチベーションなどに影響を及ぼすような大学院生をとりまく心理社会的要因あるいは経済的要因があるのか,それはどのようなものかについて探索することである。 2019年度はまず,大学院生・若手研究者の心理や精神的健康について調査・整理をしている先行文献や情報の収集を行った。加えて,大学院進学動機や大学院在籍中の活動ひいてはその後の進路・キャリア選択に影響を及ぼすような内的要因・外的要因を明らかにするためにインタビュー調査を行った。インタビュー調査は現在も遂行中であるが,既に調査を終えた協力者のデータからは,専攻分野のみならず,身近に大学院生や大学教員などが存在するかが進学しやすさに影響している可能性が考えられた。これまでは個人の体験に限られた形で大学院生の思いが発信される場合が多かったため,上記のように整理することに新規性があり,大学院進学希望者やその周囲の人々の大学院生についての理解が深まるという社会的意義があるといえる。 また周囲の学生の進路・就職状況や自身の経済的状況が,大学院(特に博士課程)への進学を左右する可能性があることも考えられた。なお,大学院生らが研究を行いその成果を査読付きの学術論文として公開される形にするには,多くの場合,論文の査読(審査)を経る必要がある。2019年度は心理学分野の学術論文の査読にかかる日数の整理も行い,論文誌の種類による論文投稿から採択までの日数のばらつきは心理学分野においてはここ10年で小さくなっていることを日本心理学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始1年目の2019年度は,研究環境の整備,異動に伴う研究環境の変化により本課題に関する活動が当初の想定よりも後ろ倒しになった。また,2020年2月よりインタビュー調査を開始したが,新型コロナウイルスの影響により対面でのインタビュー調査の実施が困難になり,調査活動が遅れている現状があるため,進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により対面でのインタビューが困難になった問題については,オンラインでのビデオ通話サービスも使いながら調査を行うことで対応する。学会や研究会の予定も延期となったものが多いため,研究期間の延長も検討している。 今後の研究活動としては,インタビュー調査での質的分析をもとに,さらに多くの大学院生への質問紙を作成し調査することで,量的な分析により大学院生の心理状態とそれに影響する要因を探る。また,大学院在籍経験のない人々を対象とした質問紙調査も行い,非当事者が持つ大学院や研究についての意識についても明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の年度内の所属変更に伴い,(1)研究環境の整備に係る予算使用の計画を考え直す必要が生じたことと,(2)インタビュー調査の実施が当初計画よりも遅れ,旅費等の執行が遅れたため。なお,インタビュー調査では,スケジューリングを工夫したことにより一度の出張で数名ずつに調査することが可能であったため,旅費が想定よりも低く抑えられたことも未使用額が大きくなった一因である。
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備考 |
2019年5月に,筑波大学大学院科目「博士のキャリアパス」にて1時間の講義を行い,本研究課題と関連する情報の普及に貢献した。
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