今年度は研究最終年度成果として以下の3点に取り組むことをめざした。1)他地域における教師研修の視察およびワークショップの実施、2)インタビュー調査結果の研究発表、および論文執筆と論文投稿、3)ナラティブによる日本語教師教育に関する文献研究発表を総説論文化、論文投稿。 1)に関しては、学会発表や研究会、ワークショップ参加を通して、ヨーロッパにおいて学びの場や学び合いの会の起ち上げをされているヨーロッパの日本語教師の方と意見交換をすることができた。また、東欧の日本学専攻大学院を修了した日本語教育関係者とワークショップの企画をし、彼ら自身が学びの機会を起ち上げるサポートを行っている。この企画は継続中であり、2024年に実施予定である。2)に関しては、東欧の若手日本語教育人材へのインタビュー調査の結果を2023年8月開催のヨーロッパ日本語教育シンポジウム(ベルギー)で発表を行った(「大学日本学科卒業生はどのように「日本語教師」になっていくのか ハンガリーの大学日本学科出身の新人日本語教師インタビューから見えてきたこと」)。3)としては、文献研究として取り組んできたナラティブによる日本語教師教育の概要をヨーロッパ日本語教師会シンポジウムで発表したもの(佐野2022)を論文化、査読を経て掲載された(佐野2024「ナラティブによる日本語教師教育の展望」)。また、本研究の示唆から得た、経験をことばにし協働省察をする「専門職」の学びについて編著本の執筆をした。2024年度中に出版される予定である。
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