研究課題/領域番号 |
19K14278
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
渡辺 恵子 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 部長 (90370105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公務職員研究 / 国立大学事務職員 / 昇進構造 / モチベーション |
研究実績の概要 |
研究2年目である2020年度においては、特定の大学で同一年度に採用された職員を対象としたキャリアツリー(2019年度に完成させたもの)により明らかになった国立大学事務職員の昇進構造について、研究会で発表を行った。 人的資源管理論においてはキャリアツリーを作成して昇進構造を分析するのが一般的であるが、これまで、資料の制約等から国立大学事務職員の採用から退職までを追いかけたキャリアツリーに基づく昇進構造の分析は行われていなかった。今回の分析によって、国立大学事務職員には幹部職員候補者養成のためのファスト・トラックが明確に存在することを客観的に確認することができ、大学職員論としても公務職員研究としても意義のある成果をまとめることができた。 また、2020年度の『文部科学省国立大学法人等幹部職員名鑑』(文教ニュース社発行)を基に、国立大学の事務局長相当職と本部事務局所属の部長相当職及び課長相当職について、その職歴を分析した。これにより、部長相当職及び課長相当職における学内登用者(採用大学を中心として勤めて課長職以上になった者)の割合が国立大学法人化後、一貫して増加していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度に完成させたキャリアツリーを基に、オンラインでの研究発表を行うことはできた(2021年3月)が、モチベーションや能力開発等に関する予備的な調査として実施を予定していた学内登用者へのインタビューや、当該インタビューや先行研究を基に内容を検討する予定だった質問紙調査は、新型コロナウイルスの影響で実施できなかった。 対面でのインタビューをオンラインに代替することも検討したが、所属機関のオンライン会議環境が安定的に運用できるまでに時間がかかったことや、初対面の方へのインタビューをオンラインで実施した場合、十分に本音を引き出すことが難しいこと、大学事務職員が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて通常以上に多忙となっている事態を考慮し、断念することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2021年3月に行った研究会での発表とそこでの議論を踏まえ、キャリアツリー作成により明らかになった昇進構造に関する論文を書き、2021年度中に学会誌に投稿することを予定している。また、2021年5月には、これまでに行ったインタビューや職歴分析等を基にした学会発表を予定している。 新型コロナウイルスの影響で対面でのインタビュー実施が長期にわたり制約を受けることが想定されるため、インタビュー以外の方法で質問紙調査の予備的調査を行うことを検討するなどして、質問紙調査の実施に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューの実施が2019年度に引き続き2020年度も行えず、そのための旅費、謝金及びインタビューの文字起こしの費用等を支出しなかったことと、質問紙調査が実施できなかったことが、次年度使用が生じた主な理由である。 2021年度以降、必要に応じて補助事業期間延長の申請を行うことも視野に入れつつ、質問紙調査等の実施のために経費を充てる予定。
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