研究課題/領域番号 |
19K14278
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
渡辺 恵子 武蔵野大学, 法学部, 教授 (90370105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 公務労働研究 / 国立大学事務職員 / 昇進構造 / モチベーション |
研究実績の概要 |
2023年度には,2022年度に実施した質問紙調査の分析を行い,その一部の結果を日本教育行政学会58回大会(於:千葉大学)において「国立大学事務職員のパブリック・サービス・モチベーション」と題して報告した。 また,国立大学事務局採用職員のキャリアツリーを作成してその昇進競争の実態を明らかにした論考「ノンキャリア国家公務員の昇進競争の実態─法人化前の国立大学採用職員を事例として」が日本労働研究雑誌No.759に査読を経て掲載された。 同論考では,これまで,いわゆる霞が関と呼ばれる本省に着目した分析から遅い昇進(選抜)であると見られてきたノンキャリア国家公務員の昇進構造について,ノンキャリアの多くが地方支分部局等で勤務しており、本省勤務のノンキャリアを地方支分部局等からの異動によって確保する府省では,ファスト・トラックが存在することなどを明らかにしている。具体的には、地方支分部局等で採用されて本省に異動するというノンキャリア公務員の昇進構造の類型の一つを代表する事例として法人化前の国立大学採用職員に着目し,ある大規模総合国立大学の 1968 年度,1970 年度,1971 年度,1972 年度の採用者のキャリアツリーを作成することによって,その昇進競争の実態を明らかにした。その結果,①管理職候補として早期に選抜された者たちが本省に転任し,本省での勤務を経て国立大学の管理職になるファスト・トラックが存在すること,②ファスト・トラックに乗ったグループの中では遅い選抜が行われており,それが本省(霞が関)内の異動のみに着目した時には遅い選抜と見えること,③ファスト・トラックに乗らなかった者の一部は,そのグループの中でキャリアの後期まで昇進競争を続けること,を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、2023年度にも複数の成果を公表することができたが、2023年度から所属が新しくなり、研究環境の立ち上げと新しく加わった教育業務に時間を取られたため、もう一本予定している、質問紙調査の分析結果を内容とする論文の執筆が予定通り進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には、質問紙調査の分析結果を内容とする論文の執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に行えなかった質問紙調査の分析結果を内容とする論文の執筆を2024年度に行うため、論文投稿のための先行研究収集を含む各種作業に要する費用が2024年度に必要となる。
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